IE9ピン留め

遠藤 武文 / パワードスーツ(講談社/単行本)

「プリズン・トリック」で乱歩賞を受賞するも、その煽りに対しての
内容が正直...酷評が多かった氏の3作目は、大きく毛色の異なる作品。
書いた時期が違うのかな? 文章も内容もかなり大雑把で、乱歩賞受賞
作家とは思えない雰囲気です。

高齢化問題と、色覚特性者、更に進化する引きこもり、医療問題を
作品中に取り込んでいますが、結果、全てが散漫な印象になって
しまっています。パワードスーツなる人間の能力をアップさせる
ロボ的なものはまだ理解出来ても、作品で展開される連続殺人や
そのスーツを使って引き起こされる事件、そしてなにより、
◯◯トリックを使用したにも拘らず、かなり途中から、バレバレが故、
犯人そのものも、かなり早く分かってしまった...。
冒頭に「本書にはある仕掛けがあります...」という件があるのですが
これって...まさか...だよね??自分は図書館本だったので、分からないですが
何か装丁関連で色覚の仕掛けがある...と思いたい。

迷走なのか、ストックなのか、方向転換なのか...なんとも
判断に迷うけれど、かなりサクっと読めるので、そんな
気分にはいいのかもですね。




# by neon_books | 2012-01-30 17:07 | 国内作家あ~

汀こるもの / 空を飛ぶための三つの動機(講談社/ノベルス)

タナトスシリーズ。個人的な理由で本の購入を
断ってから、実はこのシリーズの続編を読めない事が
気になっていただけに嬉しい。
今作は、ややイレギュラーな立花兄弟の過去、彼等が
14歳の頃に遡ってのクローズドサークル。そして少年少女らに
よるデスゲームが繰り広げられる。
現在のお守り役に加え、9人目となる(?)新人の女性刑事まで
登場し、やや趣向の異なった雰囲気ですね。

相変わらずの小ネタの挿みっぷりもイヤらしく、序盤の樹海での
サバイバルの脱力感に終始ニヤニヤ。か...軽い、チャラいw。
中盤以降は、人間不信に陥りそうな人狼のようなまさに
デスゲームが展開され、その結末もこの死神に相応しい
最良のバッドエンドが用意されています。
やっぱり面白いなぁー。

何のために「空を飛ぶ」のか? 「空を飛ぶ」事ってなんなのか?
今作には3つの章...3人の回答以外にもいくつかの回答がされて
いるのだが...意外にも自分にとって一番しっくりくるのは
「湊」の回答かもしれない。




# by neon_books | 2012-01-30 02:29 | 国内作家ま~

米澤 穂信 / 折れた竜骨(東京創元社/単行本)

特殊設定によるミステリーながらも
その設定の自由さの中で、正しくミステリー
として論理的な展開と、特殊設定ならではの
トリッキーさが上手いバランスで一気読みさせる
米澤氏ならではの快作ではないでしょうか?
魔法が当たりまえに使える事や、不死の人間など
使いようによっては何でもアリなのに、その中でも
解決編にあたる後半の謎解きの明朗な展開は
とても小気味良く、爽快なまでの展開ミステリ
ならではの面白さ。

個人的にはこの特殊な設定の舞台...12世紀末の
ヨーロッパでなかなか苦手かもと思っていたのですが
登場人物も多くない上に、それぞれの個性がまるで
コミックのように分かりやすくて、すんなりと
世界に入っていけました。こういった特殊設定な
作品に於いて、それは凄く重要なのでは? と思ったり。
なんでも、米澤氏のデビュー前にネット上で書かれた
作品が基になっているとの事で、驚きましたが。

ある意味閉ざされた場所での殺人、犯人探し、
密室からの人間消失...といったミステリに、
魔法師同士の因縁、魔法と剣による闘いといった
要素を挿みつつ、そしてやはりなんだか甘酸っぱい少年と
少女の素敵な距離の関係。という盛り沢山な一冊。




# by neon_books | 2012-01-26 22:19 | 国内作家や~

蒼井 上鷹 / 最初に探偵が死んだ (実業之日本社/ノベルス)

久々に読書をした所為もあるのかもしれないですが
読みつつも頭の中に疑問符が...そして読み終えても
尚、疑問符が...な作品。
探偵が登場する前に、既に殺害されていて、終始
その幽霊として登場する辺りは斬新。そして、その
一見オールマイティに思われる幽霊なのに、妙に
活動に制約があるあたりは、単なる幽霊探偵ものじゃ
ないところに好感持てます。
結構、もどかしいのねw。

閉ざされた山荘で起る、莫大な遺産が絡んだ
連続殺人事件は王道中の王道で、ブレようの
ない設定ですが、結果、その動機と、方法...
そして、最後の最後に明らかになる真相は...
むー...なんか消化不良かも。
連続殺人事件の背景としては弱い...というか
イマイチ説得力に欠ける気がしてしまうんですよね。

上鷹さん作品らしく、ライトなタッチで読み易いの
だから、もう少しくだけて、こういった事件や
設定にしないで、幽霊探偵が登場した方が魅力
あるような気がしたのは...余りにも偉そうな意見...ですかね?




# by neon_books | 2012-01-16 19:50 | 国内作家あ~

ヒキタ クニオ / 跪き、道の声を聞け(PHP研究所/ハードカバー)

2010年が舞台とは思えないくらいにステレオタイプな
任侠ものの超ガチガチなハードボイルド。アナクロで
あまりにも頑な生き方のヤクザ、そして主人公の
ヤクザ専門を相手にする探偵が、ガッツリと組んで
行方知れずとなった関東の巨大暴力団組織の組長を
救出すべく奔放する今作。
この探偵の「時園」と若頭「君島」の妙に萌える
関係性、そして、拉致された会長の「今切」との
血を越えた関係性に男子が一度は憧れる任侠道が
揺さぶられます。

しかし、そんな濃い関係性の特殊な世界でも
裏切りや「金」によって一般社会同様に内部から
蝕まれていく様はやはり哀れでもある。

今作の探偵である「時園」のやけに凄腕っぷりと
その曰く付きで訳ありな過去も含め、やけに
スーパーマンで切れ者なのが少し不自然ではありますが、
久々に読んだ王道のハードボイルドで、なんのかんの
言っても引き込まれます。適度にライトでユーモアも
盛り込んでいるところなんか、現代版って感じですね。




# by neon_books | 2011-08-07 05:46 | 国内作家は~
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