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貫井 徳郎 / 灰色の虹(新潮社/ハードカバー)

所謂、冤罪をテーマにした社会派作品。過去
貫井作品の社会性の強い作品にはあてられっぱなしで
読後には必ずドンよりとした楔を打ち付けられるのですが
今作は更にその楔は深く重たく響いてしまった。
これは読まなければこんな思いをせずに済んだのに...。

今作は一つの冤罪を生むにあたり関わった人間達を
個々に描いていますが、この流れで読むと確かに
憎むべき存在として書かれているんですが、反面、
その人物達の目線や立場を考えると、実はそこには悪意はなく
於かれた立場での慢性した惰性、エゴが蔓延ってるだけであり、
その事自体が日常となっている。これは自分に置き換えてみても
分かり過ぎるくらいに理解出来る。そこに明確な悪意や
作為なんてないのだ。ただ、日常に麻痺したエゴがあり、
誠実さが欠けているだけ。
誰かが押し出したエゴは必ず誰かに皺寄せが行っている。
今作はそれが冤罪だった。
そして今、自分のやっている仕事に置き換えると
皺寄せが行ってるのは制作者である人達なんだな。

正直、読まなきゃ良かった...。今の自分が給料を得ている
会社はまさに一方的な企業の立場にのみたった企業概念と
そのルーティーンに徹している。
うー。
なんだか足元がグラグラする。

貫井 徳郎 / 灰色の虹(新潮社/ハードカバー)_e0156857_2222141.jpg




by neon_books | 2011-05-11 22:02 | 国内作家な~

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