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カテゴリ:国内作家あ~( 329 )




大倉崇裕 / オチケン探偵の事件簿 (PHP研究所/単行本)

書き下ろしだけに...何時新作が読めるのか分からなかった
オチケンシリーズの3作目。たった3人しかしない貧窮な
落語研究会の面々の元気な姿が読めて嬉しい。
今作は2編のお話ですがどちらも部長の「岸」さんの
演じる噺に真相のヒントを得て、新入部員で一番
まともな性格の「オチケン」がその謎を解き明かす
スタイルです。

奇人2人の先輩に巻き込まれ、引き摺られっぱなしで
日々、時間と金銭を搾取される「オチケン」の
体質は今作では更にパワーアップ。更には学生部の
部長「土屋」、新学長にまで何故か目をつけられる始末。
事件を呼び込むところも含め才能なんですかね。
白戸修くんと一度対面して欲しいものですw。

完全に落語研究会が大学内の探偵部と化して
事件を解決するこのスタイルは、それはそれで
面白いのですが、個人的には「岸」さん、
「中村」さん、そして「オチケン」くん達と
落語の密な人情噺も...期待します。
次作は....何年後かなw?

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by neon_books | 2013-06-05 22:36 | 国内作家あ~

浅倉秋成 / フラッガーの方程式 (講談社/講談社BOX)

デビュー2作目。前作の「ノワール・レヴナント」も
バリバリに才能を感じさせる作品ですが、こちらは
作風や文体もかなりくだけ、異なる手触りながら、
この方面でもビシビシと才能が伺えます。確実に
売れていく方...だと思われますね。

ごく平凡な高校生「東條涼一」が被験者となった
フラッガーシステムなる眉唾な装置。この装置は
主人公が、アニメ、コミック、ラノベ...の主人公的な
波乱とトピックとストーリーに満ちた、まさに物語の
「主人公」となる事が出来る...なるご都合主義に溢れた装置。
その装置によって翻弄される「東條」くんの密かな恋心と
ストーリーが「ご都合主義」に展開される...
というヘンテコな作品。

作品の中で所謂ライトノベル的展開をふんだんに
盛り込んでおきながら、ライトノベル以上の読み応えと
世界と、なによりも面白さが全編から滲み出る。そして
何より作者のアニメ、ライトノベルに対しての愛情も
伝わってくる、なんともいじらしく、可愛らしい作品。
ギャグセンスも上品かつ、ツボのおさえ方が絶妙で
押し付けがましくない笑いが好感。そのギャグパートで
展開されたフラグ(伏線)が後半の、シリアスなパートで
これでもか!と活きてくる、作者得意の伏線回収は
おみごとです!!

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by neon_books | 2013-05-30 00:19 | 国内作家あ~

麻見和史 / 虚空の糸 警視庁捜査一課十一係 (講談社/ノベルス)

好調シリーズ第4作。小柄ながらも強い想いを持った
女性刑事「如月塔子」。派手さはないながらもその
上司でもありパートナーでもある「鷹野」との
コンビネーションも板に付き安定したシリーズとして
読める作品。

今作の事件の口火をきる殺人事件はマンモス団地で
発見された男の刺殺遺体。被害者自身がナイフに
ナイフを持たせ稚拙に自殺偽装された遺体だった。
いつもより派手さの内一見単純な殺人事件は
思わぬ方向へと発展。犯人自らの警察への脅迫に
よりその明らかになる真意。都民千三百万人を
1日1人づつ無差別に殺人をするという...予告。
その身代金は2億円。
絞り込みのないような事件は塔子の所属する
十一係と特殊班の合同捜査によって解決に
乗り込む。

なかなかに大きな展開に高揚感は自然と
高まりますが、捜査そのものは苦戦一方で
犯人側からの指示、そしてそこで犯した
小さなミスによってその全ての真相が
明かされる結末には...少しだけ肩透かし感が
否めない。面白いんですが...圧倒的なスーパー刑事が
登場しない今シリーズとしては仕方ない...かな?
広げようによってはもっと緊迫感とスケールの
大きい作品になったような気もするだけに...。
小振りの作品の印象になってしまうのが惜しい。

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by neon_books | 2013-04-29 04:47 | 国内作家あ~

綾辻行人 / 人形館の殺人 (講談社/文庫)

館シリーズ4作目。実はここからが自分にとっては
シリーズ初読です。前評判から「人形~」は...
とか、異色とか、変化球とかの情報は得てたのですが...
本当に...変化球ですね。暴投と言ってもいいような気もします。
でも、暴投のクソボールなのに...何故かバットが出てしまう。
前3作があったからこそ出来たこの作品のプロットは
たった一回のみ使える必殺の一球。

彫刻家だった父親がかつて住んでいた京都の屋敷。そこは
マネキンが何体もオブジェの様に飾られた不思議な人形の館だった。
主人公「飛龍想一」が移り住んでから不思議で生臭い事件が
連続して起る。
単純には犯人探しがメインですが、読むにつれ今作が
醸し出す危うい雰囲気と隠し持った刃に少しづつ
引き込まれていくのは...なんだかんだ言って...面白い作品
なのではないでしょうか?

上手く言えませんが...「館シリーズ」や「新本格」、
そして「ミステリ」「推理小説」...と言ったものの枠から
一度逸脱する事の魅力。そうする事でその枠を今後も
続ける事に対して得るもの...そういった事を感じながら
書かれた作品なのかも...と思うと目くじら立てる作品な
ハズがないんですけどねw。これ以降の他の綾辻作品を
順番に読んでいくのが楽しみです。

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by neon_books | 2013-04-19 23:11 | 国内作家あ~

浦賀和宏 / 眠りの牢獄 (講談社/文庫)

以前に読んだ作品がイマイチ自分には
合わなかったので以降...スルーして来たのですが、
何故か気になって手にした今作...。
うーむ..面白いです。

主人公は講談社ノベルスを主舞台に執筆する
ミステリ作家「浦賀」。なんだか私小説を
思わす設定ですがその更に上を行く奇妙なストーリー。
かつての恋人「亜矢子」とともに階段から落下した
浦賀と亜矢子だが、亜矢子だけが昏睡状態に陥り
数年経ても意識は戻らず。その亜矢子の兄に
呼び出された、当時、同じ夜を過ごした友人3人と
ともに地下シェルターに監禁される。
さらに同時進行で恋人に振られた女性による
交換殺人が進行。この2つの接点。そして
監禁された浦賀たちの行方...。

交互に2つのストーリーが進行し、後半に
突如として2つが交わるのですが、そこから先に
更に異様な展開が待ち受け、こちらを困惑させます。
骨格もシンプル、登場人物も極端に少ない中、
クロースアップマジックのような手際で見事に
騙されてしまいました。鮮やか。

ひとまず、ノンシリーズものから追っかけて
読みたくなってしまいました。

ただ、以前に読んだ作品「記号を喰う魔女」で
苦手意識を持ったあるシーン...は今作でも出てきましたw。

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by neon_books | 2013-04-09 01:03 | 国内作家あ~

有川浩 / 県庁おもてなし課 (角川書店/ハードカバー)

思えば「空の中」の時点で有川さんの地元に
対する想いは充分に伝わっていましたが、今作は
その想いが愛と使命感とそして怒りが結晶となった
テーマが明確かつ、有川節のエンタテイメントが
融合したステキな作品。

実際、民間企業ですら規模の大きさや、会社の
役職が旧態依然体質の年功序列だったりする場合は
もう、ほとんど役所と変わりなかったりします。
今作では主人公「掛水」の余りに真っ直ぐな性格が
彼を中心に人を巻き込んでいく姿が、堂々と正しく
描かれますが、現実は...そういかない事が...殆どかも。
でも、今作は映画化されるようだし、更には
そのタイミングで文庫化もされ、更に、もっともっと
爆発的に売れて、多くの人が読んだ時に...少しだけ
誰かの心や行動が変わり、勇気になるかもしれない...
と思わせる「光」がある作品です。やはり凄い。

本気で何かが変わればいいな...と思うとともに
有川浩という作家の本気がヒシヒシと伝わってきます。

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by neon_books | 2013-04-05 00:03 | 国内作家あ~

入間人間 / トカゲの王 SDC 覚醒 1 (アスキー・メディアワークス/文庫)

入間氏が手掛ける異能者バトル小説。「電波女~」は
自分に合わず早々に断念したのですが、今作も
既にこの1巻だけでいいかな...と思ってしまった。
要するに...合わないw。というか...どこを面白く
読んでいいのか自分には、そのポイントが
分からなかったんスよね。

主人公のトカゲ君は中学3年。いたって普通に
イタい中学生男子だが、一点だけ人と違うのは
自分の意思によって「瞳の色を変えられる」。
本人曰くその能力者をSDC(ストーン・ドラゴン・
チルドレン)と命名するくらいに中学生。
その彼がガチの異能者や殺し屋と闘うストーリーです。

うん。なんかただそれだけなんですよね。
設定以上でも以下でもなく、ただそれだけ...という。
勿論入間氏独特の言い回しや、文章のタッチや
それなりのキャラ造型は自分には刷り込み済みなので
一応最後までは読めますが...。読んだだけで、特に
何も残らない。わざと悪意のある言い方をすれば
自分にとっては、「みーまー」以外のラノベ作品は
コミックの原作者としてしか評価できなくなってきてます。

そして「トカゲの王」は....やっぱり
ジム・モリソンですよね。

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by neon_books | 2013-03-27 13:17 | 国内作家あ~

織田啓一郎 / 谷中ゲリラアーチスト (徳間書店/単行本)

発売前から一部で熱狂的に賞賛されていた作品だけに
期待感は高くなってしまっていた所為か...意外と
読み終わってみれば...うーん...。

中年に差し掛かっても未だにアルバイトとして
ギリギリの暮らしをする玩具メーカー勤務の
主人公「梅田」。彼の若干破綻した性格と怠惰な暮らし、
そして基本的に無責任っぷりに、なんだか普通に
どの会社にもいる苦手なタイプ...としてとらえてしまい
個人的にはストーリーに対してかなり醒めた意識で
読んでしまった為...ちょっとついていけず仕舞でしたね。
作品のテンションに対してラストが切ないのは
気持ちをどこに持っていったらよいのか...。むー。

終盤にライバル会社に対してきった「真のアーティスト~云々」の
熱い台詞も、彼が言うとその説得力も薄く...苦笑いになってしまう。
あまりにもリアルに梅田のダメっぷりが書かれている為、
ゴミ溜にいるのは自業自得じゃん...的な突っ込みを入れたくなってしまうw。
そういった意味では誰でもが「梅田」的なダメ要素を抱えながら
日々暮らしている訳で...リアルで身近な作品なのかも。

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by neon_books | 2013-03-18 00:07 | 国内作家あ~

綾辻行人 / 迷路館の殺人 (講談社/文庫)

再読。
館シリーズ3作目。前回の王道ゴシック路線からは
また異なる作中作などによるトリッキーで
「騙し」に拘ったような異色作。

今更粗筋や概要は...アレなのですが、作者自身が
割とハイな状態(開き直ったとの思える)
で書かれたようなテンションの高さと稚気と、
挑戦具合が伺えます。
館シリーズの前提として、ミステリにおける
ある意味のタブーを最初から度外視した仕掛けに
ついては、予備知識なしでは、脱力ギャグに
なってしまう恐れがありますね。

更にはアンフェア(?)スレスレの叙述トリックによる
「真」犯人の告発も今作の賛否両論が分かれるところ
なのかも...。そういう意味でも「騙し」に
拘った当時の綾辻氏の苦悩の向こう側を何となく
思ったりしましたw。でも、個人的に最後まで
一気に読ませる作品で充分に面白いと思ってます。

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by neon_books | 2013-03-11 19:52 | 国内作家あ~

伊坂幸太郎 / ガソリン生活 (朝日新聞出版/ハードカバー)

朝日新聞夕刊にて連載されていた作品。今作は
車が主人公...というか物語の語り部という一風
変わったスタイル。緑色のデミオという車種で
通称「緑デミ」。彼は望月家のファミリーカーとして
ごく一般的な愛車として暮らしている。
その緑デミにある日突然、有名な元女優が乗り込んできて
その日の夜に、その女優は不倫相手とトンネルで
事故死を遂げる...。

今作はかなり盛りだくさんな内容で更には望月家
長女とその彼氏が、人格破綻者「トガリ」が起した
事件に巻き込まれたり、子供の皮を被った大人より
大人びた小学生の次男の苛め問題、そして何よりも
語り部が車ゆえのもどかしさとそれ以上の面白さ。
ファンタジー面の伊坂氏と、ポップでキャッチーな
伊坂面が、こんな形で完璧に融合するなんて!!!

登場人物も安心の伊坂作品で望月家の個性ある
家族以外にも芸能記者の「玉田」、カラスと闘う
近所のオバさん「安田さん」、そして小学校校長
でありながら事あるごとに生徒に「フランク・ザッパ」を
聴くようにと奨める「細見氏」。

こういった愛すべき人物たちと、様々な事件が
張り巡らされた伏線で少しづつ繋がってきて、
盛り込み過ぎ?なくらいにサービスに溢れた作品。
出来るだけ...子供に多く読んで欲しいなーと
思ったりします。

今作で泣かされる事はないと思いながら読んでいて
油断した所為なのでしょうか...エピローグのラスト2Pに
急に涙腺が決壊してしまいました。あぁ...ステキな作品です。

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by neon_books | 2013-03-06 08:02 | 国内作家あ~

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