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カテゴリ:国内作家さ~( 131 )




下村敦史 / 闇に香る嘘 (講談社/ハードカバー)

第60回乱歩賞受賞作品。
69歳の老人、しかも全盲という異例の主人公設定。
主人公の失った視覚の描写がすんなり読み込めて
非常に安定して、自然に主人公の世界に入っていけます。
中国残留孤児としてお互い時期を別々に帰国した兄弟。
主人公が自らの所為で失った家族。
その家族を取り戻す為に兄との久々の再会が、主人公に
大きな疑惑を生む事になる。「果たしてこの兄は、中国で
生き別れた本当の兄なのか?」

残留孤児問題が絡む以上、重たい社会派作品なのかと思えば
本質はもっと身近な「家族」をテーマにし、視覚を失った主人公が
その心までを閉ざしてしまった事で生んだ様々なものを取り戻す
再生の物語として非常に素晴らしく、何度も目頭が潤んでしまいます。

随所に散りばめられた伏線が大小織り交ぜて、後半に
はまっていく展開。そしてネガポジのように一気に
その世界が反転していく展開は、圧巻的に面白い。
そして何より、登場人物に悪人がいないのも素敵です。
映像化される気配がしますw。

作家ご本人が過去乱歩賞の最終選考に5度まで残るも
受賞を逃していた時のような心理が作品に活かされたような気すらします。
きっかけ一つで視覚のない世界でも色を感じされるようになった主人公。
何度も候補作になりながらも、溜め込んだエネルギーを今作で昇華させた作者。
どちらも素晴らしい。いい作品を読んだアノ高揚感は気持ちいいです。

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by neon_books | 2014-10-05 23:11 | 国内作家さ~

首藤瓜於 / 脳男 (講談社/文庫)

オリジナルが2000年の発行だから...12年を
経て何故映画化されるのか分からないですが、
気になり出したら読みたくなり、再読。
当然再読も12年振りなので、詳細殆ど覚えておらず
ほぼ初読くらい新鮮でしたw。

連続爆破事件の共犯者として逮捕された
「鈴木一郎」なる人物。取り調べ、裁判を経て
彼は精神鑑定を受けるために医療センターに
収容され、そこで精神科医師「真梨子」と出会う。
「鈴木一郎」の特異性の高い症状と彼自身が
何者なのかを探る為に「真梨子」自身が
中盤は探偵役として奔走する。
平行して「鈴木」を逮捕した刑事「茶屋」も
違和感を覚えたまま独自捜査によりその違和感
の正体を「真梨子」が突き止めた真相と
照らし合わせた時に再度、爆発事件が起る。

文句なしのジェットコースター展開で後半は
謎の男「鈴木」が超絶な探偵役としてストーリーに
絡んできて、そこからの非人間的な能力に
ワクワクします。彼が何故そのような能力を持ち、
行動できる事になった経緯も生い立ちから、下調べと
独自の展開が説得力を持ち、こちら側に強い存在感と
感情移入できる人物として書かれています。

ラストのミステリ的な展開も満場一致だったと言われる
乱歩賞受賞も大袈裟ではない出来です。やはり面白い!

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*蛇足ですがどうやら映画は...要所要所のディティールや
設定など異なっているみたいですね。小説をベースにした
別モノ...くらいのスタンスで観たほうが良さそうです。
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by neon_books | 2013-04-24 18:12 | 国内作家さ~

清涼院流水 / コズミック 世紀末探偵神話 (講談社/ノベルス)

再読。たしか以前(97年頃?)に読んだ時は途中で
挫折した記憶なので十数年振りのリベンジとなりましたw。
やはり色んな意味での寄書というか、つきヌケ感は
凄いです。今作が世に出てから、様々な形を変えた
フォロワーや脈流が現在のある部分では、スタンダードに
なってるんですから...。人間や世間の適応力って凄いw。

1200の密室で1200人が殺される...という異例中の異例の
連続殺人。イギリスで106年振りに蘇った切り裂きジャック...。
JDCなる探偵団体、そして特殊能力を持って事件を
解決する探偵...もうカオスな内容をどのように読む側の
人間をねじ伏せるんだろう...という興味のみで約700Pを
読まされてしまうのはやはり凄い。
結果...どう思うかは...それぞれですね。一部では
「壁本」(壁に投げつけるくらい....な本)として
名高いですねw。

今の自分のテンションならこれ以降の作品も
イケそうな気もするので...過去のリベンジを
してみようと思います。

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by neon_books | 2013-04-17 22:21 | 国内作家さ~

白石かおる / 誰もが僕に「探偵」をやらせたがる (角川書店/単行本)

前作が09年。流石に前作の内容はほとんど覚えていないので
今作中でその際の心境などを綴られても...正直、微妙。
これは他の読者の多くも思った事みたいですw。
巻き込まれ系の脱力風キャラの会社員「白石かおる」が
本人の意思とは関係なく事件を解決、真相を解く
探偵役として描かれる短編集。

この語り口や描写や人物同士の会話...基本的に
トーンは低く、シニカル(って言うんですか?)で
個人的には...合わないタイプ。鼻に付く...って
いうんでしょうか?鼻に付く割に頭に入ってこなくって
結構読むのに苦労しました。こういうトーンが
小洒落ててカッコいいならば...自分は無理っすw。合わない。
自分が上司だったら絶対に対応に困るタイプですね、
この主人公w。

4編の短編で構成された今作。主人公の注意深い
洞察力、注意力、想像力そして思考により
真相を見抜くミステリ的な面白さは、何となくですが
西澤保彦、石持浅海...作品のファンにはハマる...
かもですね。

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by neon_books | 2013-04-15 15:44 | 国内作家さ~

さくら剛 / 俺は絶対探偵に向いてない (ワニブックス/単行本)

あぁぁぁ...やってしまった...。さくら剛という方を
一切知らずに書店の展開とタイトルのみで購入。
コメディ要素の多いラノベテイストなんだろうな
くらいの想像をしていたんですが...ここまでとは。
書店さんや書店員さんの事は信頼したのに...遂に...
という残念な気分です。

何を書いてもアレなんで控えますが、一応
読み切った自分を褒めてあげたい。

元々の作者のファン以外は手にする際には
それなりの覚悟と寛容な心のスペースを
作っておいたがいいと思います。

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by neon_books | 2013-04-06 02:48 | 国内作家さ~

至道流星 / 大日本サムライガール 2 (星海社/単行本)

前作からの続き...右翼として政治結社の総統をつとめ
国家改革を目録女子高生のお話。彼女が単身で乗り込んだ
ライバル事務所でおこなった器物破損、暴行未遂などの
罪で逮捕...から...の続き。
更には芸能事務所拡大に向け、2人目のアイドルの
オーディションを行い、合格したのは...「守銭奴」w。

という今作ですが、その守銭奴のキャラが実は単なる
普通に性根の優しい女の子...という少々残念な設定。
主人公の「日鞠」が振り切れたキャラなので、食い合いを
避けたのか...分かりませんが、今作をメインにするには
ちょっと物足りない気も...します。
所属事務所が意外な方向で企業拡大をする
ステップの為に必要だったエピソード...なのかもですね。

恐らく企業経済、マスコミ、メディア、広告プロモーション、
芸能、タレント、アイドル産業を政治に絡めた作品...という
全体図が少しづつ見え始めてきました。次作も読みますw。

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by neon_books | 2013-03-29 00:35 | 国内作家さ~

椙本孝思 / バジリスク 寄生生物 (角川書店/文庫)

爽やかな青春小説だった昆虫部の作者がまさかの
虫ホラー作品を角川ホラー文庫から。
今回の虫はあくまで架空の虫で、人に寄生し
宿主の精神と人格を蝕み、人を喰らう。
そしてその「虫」を喰らうのが「トカゲ」。
虫と人とトカゲがそれぞれを求め対時する
ホラー作品。

今まで読んだ他の作品とは毛色は違えど
ラノベばりに読み易くあっ...という間に
終わってしまうため、恐怖感や嫌悪感も
感じることなくサクサク読んでしまいました。
全5話の短編連作ですが、どのストーリーにも
微妙なエロシーンが盛り込まれてますw。
人が虫やトカゲに寄生される手段が性交に近い行為
だからなんでしょうけど...w。
4話目の「徘徊老人」は別の意味でハラハラしましたw。

なんとなく予定調和っぽいラストも含めて
ある意味安定した作品で、少し時間の空いた時に
サラリと読むにはいいかもです(虫ホラーですけど)。

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by neon_books | 2013-03-25 08:02 | 国内作家さ~

清涼院流水 / ユウ 日本国民全員参加テレビ新企画 (幻冬舎/ノベルス)

清涼院作品を読むのは...もの凄い久しぶり。恐らく十数年振りw。
今作の前作品にあたる「エル」以来です。
一般国民が自分アピールの為に「人間CM」を撮影した15秒を
放送するという人気番組「ゴールデンU」。その番組は開始
数年でモンスター番組に成長し、大人気を博す。
そこで放映された人間CMはさらに人気投票などによって
その価値を高めていく...という番組に、ある日いきなり
自分は撮影していない人間CMが放映された主人公の
「木村彰一」が本日のベストCM「トゥデイズU」に選ばれる...。
という巻き込まれ型のカオスストーリー。

今作では主人公「木村彰一」が何故撮影した事もない
人間CMが放送され、さらには投票で人気を伸ばしているのか...
という謎とともに、この「ゴールデンU」なる国民参加番組が
持つその本当の意味...が書かれています。

99年の作品ですが今にして思えばここで書かれてる
人気番組は現在に置き換えるとyoutubeやニコ動、
ツイッターなど動画投稿や配信になってるとはいえ、
構造は近い。普通の暮らしをする自分のような人間の
自己アピール(顕示欲)の場は確実に増えている。

作中にかかれた番組の本当の意味...とは違った形ですが
ある意味データ管理、個人データの丸裸化...という部分に於いては
今作と同じ状況になっているのが....なんだか怖いですね。

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by neon_books | 2013-03-17 00:03 | 国内作家さ~

至道流星 / 大日本サムライガール 1 (星海社/単行本)

会社経営、投資家の側面も持ちつつ、政治、経済、
芸能界にも一言ある作者が、どうやら本気で
取り組んだ(と思われる)このシリーズ。
類い稀な美しいルックスを持ちながら、自らを
真正なる右翼は、日本にただ一人、自分のみ。と
叫ぶ政治結社の総統「神楽日毬」。
そんな彼女と縁を持ち2人で芸能界に殴り込みを
かける「織葉颯斗」との...キャラ小説...でいいんだよね。

彼女は日本における独裁者になるべく、真の
政治家を目指すその過程としてアイドルになり
自分の主張、思想を巻き散らかしていくw。
この辺は痛快だったりします。そこで語られる
彼女のこの国の在るべき姿が、正しいかどうかは
別ですし、そもそも今作に本気で政治的な突っ込みとか、
右や左の思想や、歴史的史実に基づいての反証や反論は
しない方がいいし、そもそもアイコンとして
面白いから...という感覚の延長上で本気の作品
だと勝手に思ってます。

そういうキャラの美少女がどのように作中で
楽しませてくれるか...のみを楽しむべき?

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by neon_books | 2013-03-10 06:32 | 国内作家さ~

島田荘司 / 奇想、天を動かす (光文社/文庫)

89年の作品。十数年振りに再読。面白かった。
元々島田作品は御手洗シリーズよりもこの
吉敷シリーズの方が好きだったし、今作は
色んな意味でやはり傑作。そもそもタイトルから
素晴らしい。

ホームレス老人が導入されたばかりの消費税の12円
(当時は3%)を請求された事で、乾物屋の女性主人を
刺殺...という事件から端を発し、吉敷が探し当てた
事件の背後に潜んでいた大きさと真相の仰天さは
ピカ一の...まさに奇想で奇作。

走行中の列車で起きた、謎のピエロ男の自殺、
そしてその遺体消失、列車飛び込み自殺、そして
その遺体が動き出す。さらに、「白い巨人」による
列車転覆事故...ミステリ的には充分なネタと
意図してゴリゴリの社会派としての問題を
融合させていながら、危ういバランスで
両者を成立させた力技に拍手。
賛否両論あったようですが、自分は支持派です。
人がある想いを胸に秘め、自分自身がその
想いに誠実だった結果がここにある。
だからこそ今作が完成したのですよ?きっと。

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by neon_books | 2013-03-02 18:27 | 国内作家さ~

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