the books

カテゴリ:国内作家た~( 118 )




津原泰水 / 読み解かれるD クロニクル・アラウンド・ザ・クロック 3 (新潮社/文庫)

暫くの時間が空いての書き下ろし音楽小説の最終巻。
かなり待ち遠しかった作品。

あらすじを云々はアレなので割愛しますが、今作の
音楽パートのメインとなる、ロックバンド「爛漫」の
活動が描かれる様は、売れかけたバンドとしては
割とありきたりな道筋を辿っていくのですが、
作者の音楽への愛情と知識が付け焼き刃や、薄っぺらい
イメージで書いたものでは無いため、非常にリアル。
本当に存在しているバンドが辿っていく道筋を見てるような
錯覚に陥ります。
自分がこの「爛漫」が紡ぐロックを好きかどうかは分からないですが、
何となく実際のバンドに置き換えると...うーんジャックス辺りを
イメージしますねw。

もう一方のミステリパートはオープンDなる人物のしっぽを
淡々と追いつめる展開。個人的にはロックパートが面白過ぎて
ミステリとの融合はなくても十二分に楽しめた作品なので
ミステリ部分については...正直真相などあまり重要ではないw。

人気やセールス的には名作「ブラバン」の方が分かり易いのかもしれませんが
ここまで自分が読んできたロック小説の中で一番面白く時間が過ぎた、
津原氏の代表作と言っていいシリーズだったのではないでしょうか。

ラストの解説は・・・まさかの「村下孝蔵」!!

e0156857_18335884.jpg

[PR]



by neon_books | 2014-02-05 18:34 | 国内作家た~

富樫倫太郎 / SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室 5 ボディーファーム (中央公論新社/文庫)

待望のシリーズ第5弾は稀代のシリアルキラー
「キラークィーン」こと近藤房子との3度の対決。
躊躇なく快楽の為だけに殺戮を繰り返すあの
オバちゃんが戻ってきちゃいました。しかも
気軽に警視庁広域捜査専任特別調査室の室長自宅に
予告電話をしたりして。ストーリー前半の房子の
狂人じみた行動と行動力は流石...とその後の
展開に胸躍りましたが...。ん?....

対決の家庭で鍵となるのが同室、副室長の
「麗子」なのですが房子に決定的なトラウマを
与えられたとは言えかなり半端な復帰具合を
再度、房子に付け入られるなど...完全な足手まとい。
更には室長の変人「山根」以外のSROメンバーも
ほぼ活躍することなく、今までのキャラ立ちや
エピソードは何だった!?ってくらいの薄い脇役w。
山根の立てた作戦もなんだか詰めも甘く、キレ者
っぷりもないし、あまりにも無防備。

途中いくつか曰くのありそうに登場した伏線も
割と投げっぱなしだし...んー。
なんだか...期待し過ぎだったかな?

一応の決着は着いたもののなんだか煮え切らない
形なのと、実は4度の対決に向けた伏線なんじゃ!?
というくらいモヤモヤです。まさかラストに
伏兵「尾形」のまさかの展開で終わるなんてw。

e0156857_9593063.jpg

[PR]



by neon_books | 2013-06-07 09:59 | 国内作家た~

田南透 / 翼をください (東京創元社/単行本)

ミステリフロンティアシリーズ。
これは...本気の作品なのかパロディ...というか
コメディなのか本当に迷ってしまうくらいに
色んな事を盛り込み過ぎてしまって...残念ながら
破綻してしまった感が強く残ってしまいます。

孤島...に近い環境下で起る殺人事件、女子大生に
付きまとうストーカー、男女間の感情の縺れ、
トランスジェンダー、血の繋がらない兄弟...連続殺人...。
かなりの要素が盛り込まれているんですが、その
一つ一つが薄いうえにある程度のミステリ作品を
読んできた読書には流石に、ご都合主義、偶然主義、
必然な動機、被害者の取っていた行動....様々な方面に
於いての説得力に欠けてしまっていて、結果作品全体の
印象が散らかってしまった...のではないでしょうか?

とは言え341Pを読むにあたって苦痛や投げ出したくなる
事はなかったのできっと読ませる何かを持っているんだと思います。
多分、次作も手に取る...ハズ。

e0156857_014437.jpg

[PR]



by neon_books | 2013-03-30 00:01 | 国内作家た~

津原泰水 / 廻旋する夏空 クロニクル・アラウンド・ザ・クロック 2 (新潮社/文庫)

期待していた第二弾。前作の展開を覆す...との
予告通り、一連に起こった事件の真相は
確かに...二転三転しています。ちょっと...
期待が大きすぎた...かなw。
音楽(ロック)小説として、更にミステリとして
両立さえる難しさがよく分かります。そういった
意味では充分に面白い作品。

ロックパートも「爛漫」にまつわるパート。そして
主人公「くれない」が指導をつとめる女の子コピーバンドの
パートともに、読んでいて楽しいです。付け焼刃ではない
音楽の知識と経験が上手く、ストーリー内に
取り込まれていて、自分がメンバーになったかのように
スイスイと状況が入ってきます。

次作でラスト...。カリスマボーカル「ニッチ」の死に
始まる一連の事件の真相。バンド「爛漫」が
辿る音楽。そして登校拒否の小生意気な
絶対音感少女「くれない」の歩む道。
それぞれが気になります。

そして今作も著者による解説。今回は
RCサクセションのド名盤「BLUE」。いちいち
頷いてしまいますね。やはりこのアルバムが
一番好き。ラストの「あの娘のレター」は最強。

e0156857_68359.jpg

[PR]



by neon_books | 2013-02-19 06:08 | 国内作家た~

津原泰水 / 爛漫たる爛漫 クロニクル・アラウンド・ザ・クロック (新潮社/文庫)

一癖も二癖もあるイメージの津原さんですが
今作はかなりストレートな作品かつ、コンセプト。
ずばり...ロック。ただし、結構ディープなロックかつ
斜め具合はやはり津原作品っぽい...のかな。
かなり面白いです。コレ。

人気ロックバンドのフロントマンの死。
業界に蔓延る楽物(いつの時代っすかw)。
絶対音感を持つ投稿拒否少女。
が上手く絡んで、しっかりとミステリーとしても
成立させています。そのミステリ部分の
真相解明はガッツリと音楽が関わっていて
ページは薄いけど、見事なバランスですね。
ロック小説って難しいんですよね。実は
あまりにも振り幅が広くて。現代が舞台ですが
完全にイメージは70年初頭の手触り。

あとがきに書かれている事も非常に的を得ていて
ロックと録音技術の関係はおっしゃる通り。
ロックを精神論で誇張して語ることの間違いが
サラりと書かれてます。

惜しい点は読者ターゲットを若い人に設定した
ような装丁イラストとオビのコピー。
その方向は間違ってると思うよw。きっと。

e0156857_10252835.jpg

[PR]



by neon_books | 2013-01-26 10:26 | 国内作家た~

富樫 倫太郎 / SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室 4 黒い羊(中央公論新社/文庫)

読みたかったシリーズの一つ。ようやく入手出来て嬉しい。
今回はキラークイーンの異名を取るアグレッシヴな
殺人鬼近藤さんの登場でなく、全く別のタイプの
殺人犯罪者と対峙する事になる、ハグレチームのSROの面々。
相変わらずのつま弾き、および変人の集まりですが、
シリーズ2作目くらいから、今作の裏主人公的な存在感を
醸し出していた「針谷(通称ダーティーハリー)w」が
今作ではその異様な存在感が更に大きく、このシリーズの鍵
となっているような気がします。

過去3度に渡って犯人を射殺した殺人刑事。その家庭環境も
相当に複雑で、今作に登場する犯人とのオーバーラップは
次作以降の大きな展開にもつながりそうですよね。SROの
黒い羊ハリーのブラックボックスは閉じたままでいられるのか??

更には前作で打ちのめされた一課の女性刑事の今後の
絡みもいい感じの伏線となっていて、これ以降の作品に
寄せる期待も高まります。

「ジウ」シリーズあたりが好きな人にはハマるんじゃ
ないですかね?? 早く続き読みたいぉ。
e0156857_1441415.jpg

[PR]



by neon_books | 2012-03-14 14:41 | 国内作家た~

辻村 深月 / オーダーメイド殺人クラブ(集英社/ハードカバー)

こ...これは...。女性からしたらどういう感想を
抱く作品なんでしょうか? もしかしたら疑問や
違和感を感じたのなら、きっとその方が所謂
「リア充」側のイケてるグループだったのかも。
自分は男子でしたが、完全に仮面中学生で、他人の
目を気にし、計算しながら無難に学生生活を
過ごしてしました。今作の主人公「アン」のように
いつ破綻するかという恐怖に怯えながら...。

オーダーメイドの殺人という一見、物騒ながらも
やはりどこか中二病と言われかねない主人公アンと
徳川の関係は幼さ全開ですが、やはり女性目線で
書かれているが故に、少々大人ぽいですね。
きっと中二男子でこんな徳川のような男の子は
まず、存在しないと思いますw。

イタさも、清らかさも、残酷さも全て含めて大切な
時期だった中学生活。自分の時代にも女子の間で
こんなにドロドロした人間関係が渦巻いていたのかと
思うとゾっとしますね。

思春期のイタさと2人による事件の成立の可否、
そして終始ザワついた感触で展開してきたのに
ラストで余りにも爽やかな青春小説に昇華する
強引ながらも素晴らしい手腕の光る作品です。
好き嫌いありそうですが、仮面中学生だった自分には
イタいくらいにハマりました。

e0156857_420665.jpg

[PR]



by neon_books | 2012-02-12 04:20 | 国内作家た~

平 金魚 / 黒い団欒(メディアファクトリー/単行本)

ダ・ヴィンチ「幽」が主催する怪談文学賞の
短編部門大賞受賞作品。
女性特有の人間...とりわけ女性の持つ何とも言えない
黒く重たい沈殿した感情がジンワリと浸食して
くるような怖さはあります。怪談というよりは
やはりホラー作品なんでしょう。
どこにでもありそうな家庭がジワジワと壊れて
いく様を、様々な視点と時間軸による短編連作スタイルで
描かれています。
そうする事によって次第に明かされていく、真実は
読み進めるうちに興味深く惹き付けられます。

とは言え驚嘆するような怖さや新しさという
感じでもなく、正直、湊さんが描く黒さや
沼田さんのドス黒さに比べるとまだまだ、
可愛いもんで感情に爪を立てるような
嫌悪感までは至らず...といったトコでしょうか。

e0156857_2211773.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-06-12 22:01 | 国内作家た~

高殿 円 / トッカンVS勤労商工会(早川書房/ハードカバー)

実は前作が2010年のベスト3に入るくらいにお気に入りの
この作品、待望の続編。死神と異名を持つハスキー犬似の
特別国税徴収官(トッカン)の鏡が、今作では、弱者を
恐喝する極悪人として描かれる。確かにそんな側面も
ありそうなキャラだけに、この展開は上手い! 訴えられる
鏡の、その消極的な態度に、愛弟子(?)の「ぐー子」は
死神鬼上司を救うべく、真相究明に乗り出す...。

ライトノベルで活躍していた作家さんの強みはやはり
登場人物のキャラクターの造詣ですよね。今作で登場する
ライバルの勤労商工会の弁護士「吹雪」や、鏡と同級生にして
超訳アリの2人「里見」「ジョゼ」など新キャラだけでも
魅力的で、彼等の再登場や、サイドストーリーを読みたく
なってきます。

鏡の裁判沙汰に加えて、更に、ぐー子自身の心の葛藤や
働く事に対する悩み、家族の問題...我々と同じ様に抱える
問題も、それに対するぐー子の心情もリアルで共感を
持ってしまうし、自然と応援したくなるいい子ですw。

願わくば、図書館戦争ばりに「ぐー子」と死神「鏡」との
妙な距離感の甘いパートも盛り込んであると、
更に大満足なんですけどね。 早くも続編を期待してます!

e0156857_8215116.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-06-07 08:22 | 国内作家た~

辻村 深月 / 本日は大安なり(角川書店/ハードカバー)

老舗ホテルの格式高い結構式場で当日式を
行う4組の新郎新婦達の群像劇。美人双子姉妹、
ちょっと歳のいった女性薬剤師、
性格にやや難アリのギャルもどき、
そして大馬鹿サイテー男の4人が
十一月二十二日、日曜日、大安にて
それぞれの結婚式を迎える。それぞれが
抱えた大小の問題、悩みが次第に明らかに
なってくる。

どのカップルも凄く大切で、大事な人に
支えられていて、これ以上ない位のハッピーエンドが
素敵すぎます。最近読んだ作品の中ではこんな
ホッコリするハッピーエンドは久しぶりですw。
それも、途中にそれぞれの抱える問題の
描き方が異常に上手くて、しかも、それぞれの
登場人物に感情移入してしまうくらいに、
人柄やパートナーに対する想いが伝わってくるが故に
ラストが爽やかに締まるんですねー。

後日談のオマケも蛇足感がなく、思わずニヤリと
してしまう、双子姉妹の悪戯とその夫の懐の
深い反応...素敵な一コマまでもがキラキラしてます。

e0156857_9354826.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-06-01 09:35 | 国内作家た~

private book review
by neon_books
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

最新のトラックバック

フォロー中のブログ

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧