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カテゴリ:国内作家は~( 183 )




早坂吝 / ○○○○○○○○殺人事件 (講談社/ノベルス)

50回メフィスト賞受賞作。
タイトルの伏せ字部分を当てるというトリッキーな作品。
トリッキーなのはその主旨だけでなく、主人公のキャラ
(俺、参上!的なw)や探偵役、犯人の動機、密室の謎、
そして事件の真相...痛快に突き抜けるバカミステイスト溢れる佳作。
自分は好きです。

犯人探しという意味では作中でも触れてますが
それだけなら割と簡単ですが、その動機や背景が
伏線になりつつ、孤島におかれた状況が秀逸にバカバカしくも
目から鱗、やった者勝ちなのが気持ちいい。
適度に軽い文体や下ネタも状況的に必然なんで
あまり目くじらたてなくてよいかと思いますw。

是非ともこの一発で終わらずに、講談社ノベルスの
新たな顔となるような次回作以降も楽しみにしております。

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by neon_books | 2014-10-02 22:22 | 国内作家は~

平山夢明 / 暗くて静かでロックな娘 (集英社/ハードカバー)

10編の短編で構成された作品。「或るろくでなし~」は
全編に死がまつわる作品ですが今回はそういった見える
テーマや縛りはないまでも...やはり平山作品としか
言い様のない小説でした。
登場人物は全てろくでなしのクズで基本、無職w。
下品でゲスくて口汚くて、不適応者で...挙げたらキリの
ない底辺っぷり。

ドロドロのタールでイヤな臭いが鼻をつきながらも
ヤサグレるでも、怒るでもなく、なんだか静かに
物悲しい景色が確実に残る作品が今回は多いです。
だからと言って安易に人にはオススメできない
救いようのないバッドエンドだし、表現も放送禁止用語
バンバンです。
ただし、そういった表面上を持ちながら、この数ページで
一気に作品世界に全てを持っていかれるところに、
作家「平山夢明」を求める人が多いのかも。

表題作「暗くて静かでロックな娘」と
「反吐が出るよなお前だけれど」が秀逸。
この人にしか描けない男女間の感情の機微と
優しさに...不覚にもゾクリ...と来ます。

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by neon_books | 2013-06-09 23:39 | 国内作家は~

花村萬月 / 希望 (仮) (角川書店/ハードカバー)

成績優秀な高校3年生「幸司」は東大受験当日に
まさかのあり得ない失態を犯し...高い自意識が故
実家にも帰れずにそのまま成り行きで三谷暮らしを
始める。その失態のきっかけとなった手配師から
新たな仕事を得る事になったのだが、その仕事先は
福井県にある原子力発電所。原発の点検作業員という
仕事だった...。

今作の初出が2010年なので東日本大震災以前からの
連載作品でありながら、以前から作者のウチにあった
原子力発電、この国の電力利権、エネルギー利権などと
震災が起した事が重なった事で、今作が読者に与える
印象は善くも悪くも「原発」寄りになってしまうところを
あくまでも主人公「幸司」の飄々と淡々とした、羨ましくも
ある転落した青春を綴る事で、あくまでも小説として
最後まで読ませる力量が素晴らしい。

その後「幸司」は原発作業員の任期を終え、沖縄での
ダム工事作業員として飯場に入る。そこで様々な
人間と出会い成長していく様になんだか...異常に
感情移入させられてしまいます。小説の時代設定も
絶妙ですね。このクニがまだギリギリで持っていた
おおらかさが救いになっています。ここ数年の中で
「西方之魂 ウエスト サイド ソウル」と並ぶ名作。
だから、萬月作品を追う事をやめられないッス。

必要以上に悲観もしないし、楽観もしていない。
現在のこのクニ、そして未来に希望はあるのか。
(仮)が取れるかどうかは今を生きて、暮らす
自分が瞬時に考えた行動を起こす事なのかも...ですね。

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by neon_books | 2013-04-26 16:49 | 国内作家は~

福田和代 / 碧空のカノン 航空自衛隊航空中央音楽隊ノート (光文社/単行本)

航空自衛隊の音楽隊を部隊にした音楽と日常のミステリと
そして少しの恋愛がブレンドされた割とライトな方の(?)
福田作品。このテイストは...きっと有川浩作品のファン
にはストライクな気がします。

主人公の「佳音」は入隊中堅のアルトサックス奏者。
彼女の日常はまるで絵に書いたようなドジっ娘で
鈍感で、トラブルを引き寄せる不運体質。そんな
彼女達に、失われたスコアが突如匿名で返却されたり、
学生時代の謎、中学校の吹奏楽部から楽器のパーツが
連続盗難される事件、イラクから届いたメッセージなき
絵はがきの真意...など様々な謎を、朗らかに解決して
いく連作スタイル。

想像よりは演奏シーンや演奏者としての熱い想いや
音楽を小説で描写するパートは少なかったものの、
しっかりと取材に基づいた福田作品ならではの
東日本大震災後の彼等の心情、活動の描写は
ほんの少しだけ...なのにリアルに胸に響きます。

もし...続編があるなら...「佳音」の演奏者としての
夢である大きい舞台での活躍や、より深い音楽小説を
期待してしまいます。

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by neon_books | 2013-04-18 22:50 | 国内作家は~

葉真中顕 / ロスト・ケア (光文社/ハードカバー)

第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
デビュー作とは思えないほど堂々と、作品の
骨子が太くそしてグサリと突き刺さってきます。
ミステリの装丁を身に纏う事で自分のような
人間にも、見事にその重さと避けては絶対に
通れないこの先...を見事に提示してくれ、
自分自身が向かって考えないといけない...という
当たり前の事実を認識させて貰えます。
社会派ミステリーなんて枠を越えてでも
多くの人が手にして欲しい...と思える作品。

所謂コムスンの事件をベースに現代の
介護が抱える(というか単に先伸ばしに
している)問題、家族、高齢化...さらに
性善説、そして正義対正義と話は絵空事ではなく
確実に将来に待ち構えている事...について
淡々と抉るように展開されていく事に、
誰もが他人事...ではない現実と比べながら
身を削がれるような想いになってしまいます。

作中で犯人とされた「彼」がしてきた事の罪を
裁く現代社会と現代の法。「彼」の行ってきた
正義は一矢報いる事が出きるのか...。テーマが
重い...だけで済ませてしまうことが出来ない
痛烈な作品。

ちなみにミステリとしても犯人である「彼」
を追いつめる手法も見事でかなり面白い。
自分の今年のベスト3確実...っぽいです。

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by neon_books | 2013-04-08 00:18 | 国内作家は~

福澤徹三 / シャッター通りの死にぞこない (双葉社/ハードカバー)

地方の潰れかけのシャッター商店街に、元ヤミ金のヤバい金
三千万と共に男が流れつく。このダメ男がこのダメな商店街の
町起こしイベントに参加する事になるのだが、事態はより
カオスでクッチャクチャな展開に流れ込む。
商店街の行方は?ダメ男に救いはあるのか?という
コメディ小説。

やはりコメディというのは難しい。感動のツボや
泣きのツボは意外と万人に共通するポイントが
あるような気がしますが、笑いのツボとなると
急に細部にバラけてくるような気がしますね。
今作がどうかは置いておいて、ツボを外した
(自分にハマらない)笑いを始終、読み聞き
するのはなかなかに...苦行。
そういう意味ではコメディ作品はやはり難しい。

今作は自分的には結構、面白く、楽しく
読めたし、このダメなアル中男が毎晩酒で
潰れて見る、夢は...ちょっとした小咄で
なかなか楽しい。欲を言えば、登場人物が
ややステレオタイプなので、もっとメチャクチャで
壊れた人達がいたら...とも思います。

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by neon_books | 2013-04-06 02:56 | 国内作家は~

平山夢明 / 或るろくでなしの死 (角川書店/ハードカバー)

あぁぁ...やはり平山さんの小説だなぁと痛感。
7編の短編で構成された「死」を死として
のみでなく尊厳の破壊、存在の消失...様々な
「死」をあくまでも平山氏独特の温度感で
容赦なく書かれています。字面上ではかなり
エグさとグロさのある表現ですが、個人的には
この温度感が独特故、嫌悪感をさほど抱かないという
希有な作家さんのような気がします。

タイトル作で書き下ろしの「~ろくでなしの死」は
ド名作DINERに似た空気感漂う傑作で、この核で
一作の長編にもなりそうな濃密な面白さ。
こういった殺し屋書かせたらピカイチですね。
心折れんばかりになった「~ごくつぶしの死」の
心地悪さと恐怖。
「~愛情の死」で描かれる常軌を逸したラストシーン。
そして、今作を締める「~からっぽの死」における
何故か切なく、苦しくなるラブストーリー。

こういった短編では一人勝ち、独壇場ですね。
色んなバランス感覚が絶妙過ぎます。
言葉にして言い難いですが...いい作品です。

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by neon_books | 2013-04-01 00:56 | 国内作家は~

藤田宜永 / ライフ・アンド・デス (角川書店/ハードカバー)

凄く久しぶりに読んだ藤田作品。
落ち着いた空気を纏った殺し屋「榎波」と
元弁護士で殺人未遂の過去を持つ「藤立」の2人の男が
それぞれの思惑によって動いた事件が交わっていく
スタイルで交互に両名の描写が描かれます。
終始、冷えた空気のようなトーンで描かれる為ググっと
テンションのあがるシーンや場面は少ないものの、藤田作品
独特の雰囲気で最後まで読ませます。

追われる側と追う側がお互いの意図が読めないまま
交わったり離れたり、攻守が逆転したりと実は
意外と展開もあり、見せ方次第ではもっとエンタメ色の濃い
アクションになったのかも...しれないですね。

ある企業から34億もの資産を流用した会計士とその
兄弟をめぐってアメリカの謎の組織、日本の暴力団、
ドミニカンマフィアなどが入り乱れ、諜報、駆け引き、
騙し合いの中、「榎波」と「藤立」が生き残りを賭けた
物語がラストに向かって交錯していく...。

個人的には動物を異常なまでに愛する殺し屋の余りに
穏やかな性格と今作のトーンのズレに少しの違和感を
感じましたが...やはり相変わらずに壮年のオッサン達が
カッコよく女性に妙にモテたり、現役引退した元殺し屋の
老人など、直球王道のハードボイルド路線の作品、
久しぶりに堪能しました。

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by neon_books | 2013-03-20 00:39 | 国内作家は~

誉田哲也 / ドルチェ (新潮社/ハードカバー)

42歳の女性刑事が主人公の刑事もの。
スキルも能力もあって捜査一課から現在は
犯罪対策課に勤務。その理由は人が殺されて
始まる捜査より、誰かが死ぬ前の事件に関わりたい...と。

6話の短編からなる今作中に起る事件は殺人未遂や
傷害など。誉田作品にしては珍しく(?)人も死なないし
派手さは少なめです。そういった意図で書かれた
少し変わった刑事小説。一見地味な事件ではありますが
その裏側に潜む真実を嗅ぎ、明白に晒す主人公「久江」の
能力は、手法は違えど、姫川に引けを取らないですw。

既に出ている第2弾は長編との事なので今作での
基本ベースがどう展開されるのか、少し楽しみです。
出来れば大きく路線変更でなく、今作の持つ
個人の持つ問題や苦しみ、救いがベースになる
ペーソスのある作品だと...嬉しい。

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by neon_books | 2013-03-09 11:53 | 国内作家は~

初野晴 / 千年ジュリエット (角川書店/ハードカバー)

ハルチカ高校2年の文化祭。吹奏楽部の熱血編は
少し休憩の刊ですかね。全体的にここまでに
登場した濃いキャラ(アホの子たち)が文化祭で
再登場したりします。全編通して、もうニヤニヤの
面白さ。多分、高校2年の文化祭って...一番楽しいん
だろうね。自分は未経験ですがw。

新たなキャラ「スナフキン(女性)」も颯爽と登場し
ピアニカ片手に颯爽と吹く姿は...かなりカッコいい。
今後の吹奏楽部にとっても関係して来そうな
重要キャラで楽しみ。文化祭本番では、君臨する
高スペック生徒会長。演劇部のアイツ、初恋ソムリエのアイツ。
3年生にして新キャラのアリス・クーパーな人...。続々と
アホの子たちのキラキラが堪らない。

そしていつもながらの表題作の素晴らしさ。
キラキラだけではない十代の痛みも、でも
それ以上に広がるその先の希望も引っ括めての青春。
このシリーズの全てのテーマが詰まってます。
しかも4編の短編を総括する落としドコロ!
冴え渡ってますね。

全くの蛇足ですが作中にバカボンのお巡りさん
(目が繋がった本官さんね)の引用がありますが、
実はアノお巡りさんって...個人で勝手にお巡りさんの
商売をしてるんですよねw。交番を個人経営してる
事業主なんですw。

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by neon_books | 2013-02-27 23:04 | 国内作家は~

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