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カテゴリ:国内作家ま~( 132 )




三浦しをん / 神去なあなあ夜話 (徳間書店/ハードカバー)

まさかの続編...というか夜話だけにスピンオフ的な
要素の強いファンタジーかつ、ラブコメw。なんか
作者の絶好調っぷりが伺え、そういう時期に書かれた
真っ直ぐでストレートな気持ち良さが伝わってきます。

前作で林業に従事することになった主人公の「勇気」が
それ以降に神去村での出来事、そして自分自身の恋の
事を綴った日記風に書かれた今作は、やはりユルくも、
優しく、穏やかな空気が始終漂い、読む側の気持ちを
自然に和ませます。
勇気以外の登場人物もしをんさん得意のキャラ造型によって
活き活きと、かつ人間臭く描かれていて、まだまだ
今作シリーズを期待してしまいます。ある意味では
高田郁の「みをつくし料理帖」と肩を並べるシリーズに
なって欲しいものです。

楽しいだけではなく、「なあなあ」な村にだって
色んな事がある。色んな過去もある。
でも、神去村での出来事や、村で暮らす人達は、
100年先を見据えて暮らす。100年先にそこで暮らす
人達の事を想って出来る事をする。
サラりと書かれてますがこれって...今、この国が
抱えている状況や問題を一言で現している気がします。

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by neon_books | 2013-04-11 00:19 | 国内作家ま~

前川裕 / アトロシティー (光文社/ハードカバー)

前作と少しばかり被る印象もありましたが
ミステリとしては今作の方が密度は濃いかも
しれません。

生活保護も受けずに餓死した若い母子。殆ど
違法な訪問販売により恐喝。数年前に起った
未成年により男女監禁暴行殺人。これらの事件が
点を繋ぐようにジャーナリストである主人公「田島」
を巻き込んでいく。更にには田島の講義を偽名で
受講する謎の女子学生など更に迷走する事件。

違法な訪問販売、そして過去の監禁殺人をメインに
展開しつつ、今作の本質はそこではなく、この
事件に「田島」が関わった事で、別の事件の真相が
浮き彫りになってくる構造です。
所謂真犯人... 探しという意味では割と想像し易い
設定で、その動機も若干の安易さがあった気がしますが、
登場人物の描写や今作では「緑川」なる刑事の登場により
充分にフォローしきれる内容ですね。

ただ...やはり前作と少しカブるイメージが残ってしまうのが
少しだけ残念。大学教授がカッコよく描かれすぎで
鼻につくとことかw。

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by neon_books | 2013-04-02 02:51 | 国内作家ま~

森川智喜 / スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ (講談社/講談社BOX)

かなり特殊環境、設定のミステリ...といっていいんでしょうか?
文字通り「何でも知る」事の出来る鏡を使って探偵業を
営む中学生女子「襟音ママエ」。前半はその鏡の持つ力と
ママエのスーパー手抜きな探偵っぷりを描くパート。
正しい結果が100%分かっている前提で、依頼を聞くことから
始まり、後付けで結果に対する推理を説明するという
ミステリとしては...ド反則を堂々と展開していますw。

中盤からは鬼畜な外道探偵「三途川理」が参戦し、
鏡を使った思考バトルへと展開。ママエ側はその
助手である「グランピー・イングラム」という小人(!!)
とその兄弟による推理合戦。更には三途川による
読者の上をいく、何でもアリな鏡の使用法による
その破綻した性格がなんとも...素晴らしいw。
正しい悪役の姿です。

白雪姫をベースとしたファンタジーに、超卑怯な
ミステリを盛り込んでいる為、ミステリ視点から
したら、勇気のある作品のような気がします。
これがツマラないストーリーやキャラの作品
だったら、もの凄い駄作になるんでしょうが、
そのラインを軽く越えている怪作なんではないでしょうか?

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by neon_books | 2013-03-22 00:01 | 国内作家ま~

三浦しをん / 舟を編む (光文社/単行本)

2012年本屋大賞。まさに相応しいと思います。
心ある書店員さんたちが本当に読んで欲しい、
そしてオススメするに値する作品です。
もう最初の1ページ目から面白いし、涙を
堪え過ぎて...眼球がヒリヒリ痛い。

一つの辞書を作るにあたって3人の視点から
十数年に渡る時間を260Pでまとめた手腕と
本当に誰が読んでも楽しめる文章、構成力、
そしてしをんさんならではの登場人物の
キャラクター。こういう作品が売れるのは
正しい事だと思います。やはり書店さんって
頑張ってるなーと羨ましく思います。

よく図書館で1年待ちとか1000人以上待ちとか
みかけますが、売れた作品だけあって中古市場も
意外に潤沢に在庫ありますよw?

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by neon_books | 2013-03-05 23:29 | 国内作家ま~

水田美意子 / 着ぐるみデパート・ジャック (宝島社/ハードカバー)

12歳の時に書いた作品でこのミスからデビューした方の
2作目。今作発表の時は16歳だったみたいですね。
読まれた方はほぼ全員同じ感想だと思うんですが
兎に角読み難いw。句読点や漢字、平仮名表記、視点のブレ、
などもう、何度も諦めようと思うくらいに読み難いw。
口述による作品なの?と一瞬本当に思ったくらいw。

パンダの着ぐるみなどを着た複数犯人による
デパートジャック。その要求は「文部省廃止」。
このふざけた要求の真意。そして犯人達は誰なのか?
たまたま人質にの一人となったプロ中のプロ傭兵
(現在はバーのマスター)による謎解きによって
さらにふざけた真相が...。的なお話。

登場する人物はライトノベルキャラのような
設定で文章同様、苦戦を強いられますが、上記の
プロットと伏線(?)と真相を繋げるセンスは
非凡です。アイディアありきで急いで仕上げた感は
拭えないですが、これはもしかしたら作家さんの
責任じゃないのかも...。と思ったり。

今作以降作品を出されていないようですが...
実は、結構惜しい才能な気がします。

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by neon_books | 2013-02-16 03:29 | 国内作家ま~

前川裕 / クリーピー (光文社/ハードカバー)

デビュー作ですが作者が大学教授という事もあり
読ませるという意味ではかなり上手です。
大袈裟な表現など使わなくても、冷静な
目線で書かれた文章でも怖いものは怖い。

粗筋も上手く書かないとネタバレになりそう
なので難しいですが、8年前に一家が失踪した
事件を追う、刑事の訪問から数日、主人公である
大学の犯罪心理学教授の自宅の周辺も、なにやら
ジワジワとした恐怖が渦巻き、思惑を遥かに
越えた恐怖と事件にまきこまれていく...。

途中、まさかぁ、んな事ぁないでしょー。みたいな
展開になるんですが、類似したような実際の事件が
発覚したりして、絵空事じゃなくなってきた事が怖い。
記憶は曖昧ですが「黒い家」とか「火の粉」に通じる
心理的ホラーとしてはかなり面白い。

ミステリとしては終盤に様々な謎が判明していくのですが
その手法、そして要所要所のつっこみどころ感は
少々残念...かしら。それから人物描写も、もっと悪は
悪に徹した狂人っぷりのまま突っ走った方が...よかったかもですね。

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by neon_books | 2013-02-12 00:12 | 国内作家ま~

牧薩次 / 完全恋愛 (小学館/文庫)

辻真先さんの別名によるガチミステリ作品。
しかも09年の「本格ミステリ大賞」受賞作という
オマケ付の作品。
これもネタバレを伴う感想になるので
非常に書き難いっす。

孤高の画家の一生を描いた作品ですが
その中に3つの事件が起る。その画家
である「本庄究」の幼少期から晩年までを
追う形で様々な人物が彼の最初にして
最後の「恋」の相手「小仏朋音」の
姿を思わせる。彼の数奇で純愛に身を
捧げた人生と事件...。ミステリと恋愛パートが
上手く絡み合っています。

ミステリパートとしては少々...強引というか
うそーん!!..なトンデモ展開ですが全く腹も立たないw。
むしろそんな事にまで展開するのか!と
痛快な真相でニヤリ。
そして「恋愛」パートとしては、ラストの
昇華は見事過ぎます。タイトルの「完全恋愛」
に恥ない、真っ直ぐに正直な記述によって、
真相については予想した通りなのですが、
それでも読後の爽快感は大満足。
男の身勝手なファンタジー作品(褒めてますw)。

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by neon_books | 2013-02-09 07:41 | 国内作家ま~

道尾秀介 / 笑うハーレキン (中央公論新社/ハードカバー)

ハートウォームな方の道尾作品。映画もヒットしたらしい
「カラスの親指」にも似た、訳ありな人間達の
疑似家族のような奇妙な繋がりの人間関係も描かれます。
ですが今作のメインとしては、人間の弱さ。何かの
所為に責任を押しつけ、自分から目を背け、
退くでも進むでもなく、現状維持に身を委ねる弱さ。
そして、そこから少しでも這い上がる(ろうとする)
事の困難さと、その道筋を描いた、光が差すような
暖かい作品。いいです。

会社を倒産させ、息子を失い、妻も出ていって
しまった家具職人「東口」。たった1台のトラック
に暮らし、ホームレスとなって細々と仕事を
こなす日々。ある日若い女性が、弟子にして欲しい
といきなり現れ、更に奇妙なホームレス暮らしを
していくのですが...東口には顔のない「貧乏神」
が取り憑いていたのだった...。

みたいなストーリーですが、緩急のある
ストーリー展開で飽きさせる事もなく、
全体にはユーモラスで軽快な作風ですが、
しっかりと要所は重くなりすぎずに、
今作のコアな部分は胸に残ります。
「カラスの~」「カササギ~」のファンなら
鉄板ですね。

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by neon_books | 2013-02-05 00:09 | 国内作家ま~

舞城王太郎 / 短篇五芒星 (講談社/ハードカバー)

流石の舞城作品。全5編の短編全てが舞城氏
でしかあり得ない。印象的にはスピード感を
ダウンさせた代わりに、言葉の一つ一つが
胸に残る言葉で紡がれ、積もっていく雪のように
のしかかってくる重みを増した気がします。

流産という理不尽な現象に偏執的に取り憑かれた
27歳の男の話。
地味だった姉が突如として鮎(魚の鮎です)と
結婚した話。
四点怪談に端を発し、超絶的な推理を披露する
名探偵の話。
バーベルとして持ち上げられた過去によって
その人生が静かに狂う男の話。
悪の箱と闘う少女、見栄っ張りだけど意地っ張りな
少女との邂逅。そして善と悪の話。

どうやってこんなストーリーを構築し、
さらにあの文体なのに、読む側の人間に
苦痛を感じさせる事なく、書く事が出来るんでしょう。
現代の日本に生きる数少ない天才...ですよね?

大して意味はないのかもですが
劇団エンジェルバニーズが登場しますw。

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by neon_books | 2013-01-30 23:45 | 国内作家ま~

宮部みゆき / 火車 (新潮社/文庫)

今更ながら...読んでみました。宮部作品も
おそらく龍は眠る...あたりから全く読んで
いないので20年以上も読んでない事になる。
そして、今作。宮部作品の中でも最上位の
人気を誇る今作。やはり長いw。宮部さんの
作品の特徴なのかな。でもダラダラと
長い訳ではないので決して不快じゃないです。
丁寧に、そして誠実に各パーツを散りばめ、
そして積み上げていき、後半にその収束に
テンションは静かにあがりますね。
名作と言われるだけはあると思います。

凄く丁寧に事件の経緯と、主人公の
休職中の刑事「本間」の捜査とその思考、
推理、さらには潜んでいた伏線...等も非常に
フェアだし、無理が少ない堂々とした作品ですね。
登場人物も多岐に渡りますが、それぞれ
人間臭くて、でも、いい人は凄く良く書かれて
いるところに更に好感。

テーマである個人のカード借金問題と、
女性の失踪を社会派ミステリーとして
ガッツリ取り組んでおり、20年前の作品ですが、
この個人のカードローン、キャッシングなどの
市場は恐らく未だに日本経済の大きな柱として
そびえたっているんでしょう。
DVD1枚を借りに行ってもカード作りませんか?
なんて営業されますからねw。

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by neon_books | 2013-01-23 01:04 | 国内作家ま~

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