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カテゴリ:国内作家や~( 86 )




結城充考 / 衛星を使い、私に (光文社/ハードカバー)

「プラ・バロック」など前2作の主人公である女性刑事
「クロハ」がそれ以前、自動車警邏隊所属時代の連作短編集。
前の作品を読んでから時間が経っている事、元々さほど
印象に残っていない主人公だったイメージでしたが
この短編スタイルと作者の文章は合っているような気がします。
アレ?こんなに読み易く、面白かっったっけ?という今作。
全6編の中でも表題作はタイトルのセンスとその中身が
絶妙にマッチしていて秀逸です。

現場に拘る警察官である事、更に自身が持ってしまっている
捜査能力と内に秘めた強く偏った意思によって、本来の
立ち位置を逸脱して様々な事件に関わっていく。注意深く
物事を見つめ直し、そこから疑問点を追求する捜査スタイルは
読んでいても好感が持てますが...今ひとつ内面の底が見えない分
主人公としての感情移入はしにくいキャラです。まぁ、そこが
いいのかもしれないですが。

正直前2作の長編の印象が薄かったのですが今作を読んだ後の
今後の新作には期待感が高まります。

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by neon_books | 2013-03-26 02:39 | 国内作家や~

柳広司 / パラダイス・ロスト (角川書店/ハードカバー)

いやぁ...相変わらずカッコいいし、面白いですなぁ。
ある意味安心かつ安定のクオリティ。
ですが、今作はD機関、そしてスパイ本来の諜報活動と
いうよりは、D機関のスパイ達による探偵活動的な
ミステリ寄りな内容...かもしれません。それでも
充分に面白いんですけどね。

4話のストーリーからなる今作ですが個人的には
「失楽園」に登場する名もなきスパイの探偵的な
誘導推理と「追跡」における結城中佐の過去を
扱った2作が突出。正体も影も見せずに、ターゲットを
追い込むという力技なのに、あくまでもクールな
スタイルはこのシリーズならではですね。
カッコいい。しかし...D機関...凄いなw。
どんどん凄みが増してくる。

どこまで続くのか分かりませんが...そろそろ
結城中佐をメインとしつつ、ライバルの登場や
戦争の終焉によってこのD機関がどうなっていくのか...。
最後まで描ききって欲しいですね。しかも長編で。

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by neon_books | 2013-03-03 20:53 | 国内作家や~

矢作俊彦 + 司城志朗 / ARAKURE あらくれ (早川書房/ハードカバー)

矢作+司城コンビによる幕末クライムノベル! 装丁の
イラスト...カッコいいよねぇ。様々過去の名作映画への
オマージュが盛り込まれたという今作。もう随所に
バリバリに映像化を想定したようなシーンや
台詞が盛りだくさん。エンタメ度高いです。

しがない渡世人「亮介」「欣蔵」がひょんな事で
手にする連射ライフルとピストル。人生の目標の
ない2人がこの武器片手に始めたのが「股旅ギャング」
を名乗り、賭場ギャングから次第に義賊へと
変貌を遂げるクライムロードノベル。恐らく
読者は頭の中でシーンの構図や役者のキャスティングを
しながら読んでいるんじゃないでしょうか?

作中の登場人物も坂本龍馬、清水の次郎長、
土方歳三、松平容保などが登場し、様々な
形で股旅ギャングに絡んできます。

前半はコメディタッチの渡世人情ものから
次第に「明日に向かって撃て」を経て、
ヒロインを巻き込んで「俺たちに明日はない」
へと流れていく、怒濤のエンタメ。

面白いんですが惜しむらくは、ページ数の
少なさと圧倒的な悪の対象の不在、そして
もっと涙腺を崩壊されるような高揚感を
あくまでも活字...で煽って欲しかった...かも。

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by neon_books | 2013-01-19 22:21 | 国内作家や~

横山秀夫 / 64 ロクヨン (文藝春秋/ハードカバー)

2012年の「週間文春」「このミス」での両方で国内部門の
1位を獲得した、横山氏7年振りとなる自身最長となる
647Pの長編。
繰り返しなのですが、面白い作品は、最初の1P目から
すでに面白い! 事を改めて感じさせてくれるド力作。
警察小説としては当然、一級品ですが、これは
お仕事小説としても、かなり心を揺さぶる作品です。

幻の時間...昭和64年に起きた誘拐殺人事件。未だに
未解決事件としてD県警の傷となる事件。14年の
時間を経て、再度この「64ロクヨン」が様々な
確執、抗争の中心としてのしかかってくる...。
そんなストーリーですが...兎に角読んで10000%
損のない作品。さすがダブルで1位を獲得しただけの
面白さ。

今作主人公は広報室の広報官。また彼自身の弱さと
打算、葛藤が表れる前半に、組織内で生きる男として
胸をザワザワとさせられるうちに、中盤以降、この
三上という男そのものみ魅せられ、彼が確固として、
自分のすべき事、自分の仕事に迷いを吹っ切ってからの
怒濤のカッコよさっぷりったら...。あぁぁ...涙腺がヤバい。

また、彼を取り巻く様々な人間もすべてが
人間臭く、善くも悪くも全員がリアルで愛おしく
感じる程作品世界は完璧。きっといづれ映像化されるの
でしょうが、表面的にはこの世界観をなぞれても、
行間や読む側の心情に訴えてくる、このゾクゾクした
感じは横山氏の文章でしかありえません。絶対に。

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by neon_books | 2013-01-06 03:19 | 国内作家や~

横関大 / チェインギャングは忘れない (講談社/ハードカバー)

乱歩賞作家さんですね。少しづつ作風がライトになって
きている気がしますが、こっちが素なのかもしれないですね。
かなり読み易いし、会話のテンポも良いのでサクサクです。
今作は高校時代に出会った2人の少年と少女の物語ですが...
余りも夢物語...というか甘くて蒼過ぎるのが気になって
しまいます。流石にここまでの偶然...というかご都合というか...
には萎えかかってしまいますが、前述のようにテンポの良い
会話と主人公のスーパーマンっぷりが、厭味のない「いいヤツ」
っぷりに次第に引き込まれてしまいましたw。
結果...面白かったスw。

でも、後半の所謂ミステリ的なドンデン返しは、なくても
良かったのでは? と思ってしまいます。確かにストーリー的には
それなりの驚きはありますが、それ以上に困惑や、物語上の
必然性が感じられなかったので、ちょっと付け足し感を
感じてしまうのが勿体ないような気が...。
ライトな邦画やドラマの原作のような作品なのでベッタベタな
展開の方が受けそうだし...。
ここは、最後まで主人公「修二」の底抜けにいいヤツで
凄い出来るキレ者っぷりで押してもよかった気がしますw。

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by neon_books | 2012-03-12 00:09 | 国内作家や~

吉川 英梨 / アゲハ 女性秘匿捜査官・原麻希 (宝島社/文庫)

うー。なんだかイマイチ読んでいても
胸苦しい感覚が付きまとうなんとも言えない
作品で...正直...微妙というのが本音。
そもそもの事件の発端になった過去の
警察という組織による隠蔽...が前提として
あるんですが、この事件がなんとも胸糞悪い。
実際にこんな事があるなんて想像すら、絶対に
したくないイヤなスタートが、終始引き摺って
しまった感があります。

作品そのものは読み易く、サクサクと進むし
後半にきてようやく姿を現しはじめる
テロリスト組織のリーダー「アゲハ」の
正体も上手く姿を隠していて面白いと思います。
主人公の「原麻希」のキャラのその周辺の
刑事たちや、その子供たちも好感が持てるんですが
なんにせよ、最初の隠蔽事件そのものが...
残念でしかたないです。
もっと別の持って行き方がなかったんですかねー。

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by neon_books | 2012-02-17 01:07 | 国内作家や~

米澤 穂信 / 折れた竜骨(東京創元社/単行本)

特殊設定によるミステリーながらも
その設定の自由さの中で、正しくミステリー
として論理的な展開と、特殊設定ならではの
トリッキーさが上手いバランスで一気読みさせる
米澤氏ならではの快作ではないでしょうか?
魔法が当たりまえに使える事や、不死の人間など
使いようによっては何でもアリなのに、その中でも
解決編にあたる後半の謎解きの明朗な展開は
とても小気味良く、爽快なまでの展開ミステリ
ならではの面白さ。

個人的にはこの特殊な設定の舞台...12世紀末の
ヨーロッパでなかなか苦手かもと思っていたのですが
登場人物も多くない上に、それぞれの個性がまるで
コミックのように分かりやすくて、すんなりと
世界に入っていけました。こういった特殊設定な
作品に於いて、それは凄く重要なのでは? と思ったり。
なんでも、米澤氏のデビュー前にネット上で書かれた
作品が基になっているとの事で、驚きましたが。

ある意味閉ざされた場所での殺人、犯人探し、
密室からの人間消失...といったミステリに、
魔法師同士の因縁、魔法と剣による闘いといった
要素を挿みつつ、そしてやはりなんだか甘酸っぱい少年と
少女の素敵な距離の関係。という盛り沢山な一冊。

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by neon_books | 2012-01-26 22:19 | 国内作家や~

横関 大 / グッバイ・ヒーロー(講談社/ハードカバー)

前作の乱歩賞受賞作とは大きくイメージの違う
受賞後第1作目の今作。かなりくだけて、ライトな
感覚の青春小説のようなテイストになっています。
こっちの方が読み易くて、合っているような気もします。

宅配ピザでバイトをしながらバンド活動を続ける
主人公の「亮太」がある日、配達先で巻き込まれる
人質立て籠り事件。その事件をきっかけに人質だった
謎の「おっさん」と出会う事で、なんだか更に
その「おっさんの厄介を請け負う事になる...という
気のいい青年が、その親切心を全開にする事で
バタバタと事件に引き込まれるという...まぁ...
ありそうな設定ではあります。

この余りにも困った人を見捨てられない性格
(おせっかい??)の「亮太」くんが、余りにも善いヤツなのと、
やけに肝が座っていながらも、妙に冴える推理っぷりに
少しだけ自分は距離を置いてしまったのですが...
どうなんでしょうね?? しかもこんな好青年が演ってる
バンドってのもなんだかイマイチ興味も湧かないし、
面白みに欠けてしまう気がして...
というのは自分の性根が歪んでるからかな?

事件から数年後という設定の第二部では、限りなく
全てが善い方向に進んでいくハッピーエンドなのは
素敵な事ですが、余りにも安直かつご都合的...
に思えてしまうのは、少し調べたり、多少好き...
程度でロックを題材にしてるから? かもしれないなー。

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by neon_books | 2011-06-30 23:05 | 国内作家や~

矢作 俊彦 / エンジン ENGINE(新潮社/ハードカバー)

司城氏との共作は既読でしたが、実は矢作氏の
単独の作品を読むのが今作が初めてでした。
オビの「著者渾身の傑作! 銃弾で描いた狂恋」...
なんて書かれたらそりゃ、期待は大だったんですが...。

すみません...自分には合わなかったです。
350Pだったんですが4日間もかかってしまった...。
なぜか頭に入ってこないし、情景は全く浮かんで
こないんです。さらには主人公の「游二」や彼が
追われ、そして追う謎の女にも何故か人間的な
温度を全く感じられずに、正直、事件そのものに
興味も持てずに惰性で読んでしまいました...。
ツマラないんではなくて、合わなかった...んでしょうね。
すみませんです...orz

高級外車窃盗団を追う築地署の刑事・游二の前に、
その女は立ちふさがった。ティファニーの
ショウウインドーに.30カービン弾をぶちこみ、消えた女。
魔に取り憑かれたかのように、彼は女を追い始める。
宝石店襲撃、刑事殺し、高級車炎上、ビル爆破……
息もつかせぬ緊迫の展開。
と、上記あらすじ抜粋です! 面白ろそうなんだよなー!!
むー。

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by neon_books | 2011-06-03 22:44 | 国内作家や~

柳 広司 / ロマンス(文藝春秋/ハードカバー)

本年度No.1ミステリーの大本命...と大きく
唱ったオビは...まぁ...いいかw。こういうの
慣れてるしねw。だからといって駄作なんか
ではない、柳氏の新作。舞台は昭和8年の帝都。
パリで訳ありな幼少期過ごし、帰国した華族
「麻倉清彬」を中心にこの時代の享楽と退廃と
退屈と行き場のない閉鎖感に塗れた華族社会と
日本が淡いトーンながらも印象深く描かれています。

そしてその主人公「清彬」の周辺に起る殺人事件、
陸軍による武装クーデター、特高警察、共産党...
そして決して叶う事のない恋愛...が絡み付き
時代背景とマッチした悲哀に満ちたストーリーが
展開される。余りに切なく物悲しいラストと、
今作のタイトルの持つイメージが妙にあっていてます。

なんだか今までの柳氏の作品とは一見毛色の
違う作品ですが、終始温度が低めでモノトーンな
印象なのに引き込まれるのは「ジョーカーゲーム」
にも共通するアノ感じです。

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by neon_books | 2011-05-18 01:48 | 国内作家や~

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