the books

<   2011年 04月 ( 27 )   > この月の画像一覧




山下 卓 / RUN RUN RUN(徳間書店/文庫)

3人の女性が新宿歌舞伎町で偶然出会い、そして
出会った瞬間から何故か3人で冬の新潟へと旅立つ事に。
17歳の訳あり女子高生、24歳の崖っぷちキャバ嬢、
29歳の未だ自分探し中の雑誌編集者という面識の
なかった3人による、日常からエイっと一歩を踏み出した
の逃避行。それぞれが抱える問題の大小はありながらも、
自分の中の殻やリミッターが非日常の旅によって序々に
外れていき、幼稚で儚い仮想の3姉妹という関係性を
持つ事で癒されていく。
女性版ロードノベルにして成長小説。

旅の終盤、クライマックスには3人の繋がりが
強固になっていくにつれ、その本音や背負った
柵を吐露する事で、意外な3人の接点が浮き上がってくる。
偶然ではなく、必然だった3人の出会い。そして更に
「走る」事でにただ逃げる事から、意思を持った脱出の
シーンはあざといながらも、清々しくもキラキラとして
羨ましくもあります。読み終えてから、表紙の写真を
見ると...なかなかいい装丁だなーと思えてきますw。

旅ってやっぱりいいね。どっか...行きたいなー。

e0156857_84148100.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-04-28 08:42 | 国内作家や~

小川 一水 / 群青神殿(朝日新聞出版/ノベルズ)

人気SF作家による海洋SF的な作品の新装版。
海洋SFって言えば自ずと想像するのはやはり
未知なる生物との邂逅、そしてトラブル、それを
乗り越える人類って構図だよね、うん。
殆ど記憶が薄れてしまっていますが昔に読んだ
梅原克文さんの傑作「ソリトンの悪魔」を思い出します。

やはり今作もその期待を外さない内容でニュークと
名付けられる未知なる巨大な海洋生物が現れ、タンカーなどの
巨大船を襲撃していく...というストーリーですが、そのニュークに
対峙する面子は民間の資源探索を行うスタッフ達。
ハードな軍用用語や名称、呼称が飛び交う、割と本格的なゴツさと
その登場人物達はライトノベルのような軽妙なキャラ設定が
アンバランスですが、そこが今作を重すぎるSFや、パニック小説に
しなかった上手さなんでしょうね。

パターンっちゃパターンですがやはり好みの設定だけに
自分の中の評価は甘くなります。山岳小説、海洋小説大好き!

e0156857_1981325.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-04-26 19:08 | 国内作家あ~

西澤 保彦 / 春の魔法のおすそわけ(中央公論新社/文庫)

一見ミステリとは思えない作品なのに最終的には
ソレまで書かれていたエピソードが伏線回収として
カチっと嵌るように収まるから...やはりミステリ作品なんですね。
余りにも途中の展開と主人公の女性作家「小夜子」の
超ダメな泥酔っぷり、ネガティヴ思考は凄まじく、一男性からの
目線としては、見事に女性像を破壊してくれますw。
泥酔しての嘔吐に始まり、放屁、終いには...あぁ...書けないw。

そもそもは「小夜子」が泥酔により、自分のバッグと入れ違いに
なった鞄に、現金が2千万円詰まっていた事から謎は始まる。
その小夜子は泥酔が故に常人では考えられない行動に出る。ふと
立ち寄った千鳥ヶ淵で美青年「優弥」に出会う。そして出会った瞬間に
優弥をその2千万で買うという暴挙に!
そこからの展開は一旦、その謎を置いてけぼりにしたかのような
前述のようなこの2人のにわかカップルの行動が続くのですが、
この美青年「優弥」がまたクセ者で、実体がないかのような存在
なんですよね。

その優弥の存在も含めてのラストのこの謎解きはまぁ、強引で
偶然に寄ったところもあるんですが、まぁ、全ては酒による
一つのファンタジーという事で、こんなのも充分アリありです。
西澤さんを始め、作品とお酒が切り離せない方々の紡ぐ、こんな
おとぎ話は大好きなのです。

e0156857_22302081.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-04-25 22:30 | 国内作家な~

三浦 明博 / 黄金幻魚(講談社/ハードカバー)

02年の乱歩賞作家なんですね。今作はミステリ色は
ほとんどなく、どちらかというと大人になりきれない
大人の青春小説...という雰囲気です。中3の息子と
本気で喧嘩をするような父親「優作」の一夏の
青春...という感じの作品。
漁師でありながらも、フライフィッシングを覚え、
その師匠である謎の女性に恋をし、息子と共に
伝説の巨大魚を釣り上げるという冒険に出る...まるで
子供そのものw。
でも、厭味なく漁師という仕事に誇りを持つある意味
天然で天真爛漫な父親「優作」の姿は決して見苦しくなく
微笑ましい。
釣りを通して描かれる自然も、その中で暮らす人達も
暖かみのあるもので、一種の憧れすら感じてしまいます。

ラストも含めて安易なハッピーエンドではなく、
やはりほろ苦く、かつ心に残る夏休みの思い出として
完結するのも、きっとこれが正解なんでしょうね。
ミステリとしては薄味ですが、青春釣り小説としては
美味な作品。

e0156857_20255486.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-04-24 20:26 | 国内作家ま~

保科 昌彦 / 贖罪の1オンス(祥伝社/ハードカバー)

企業倫理をテーマにした、サスペンス小説で
基本的なテーマとプロットは好みなヤツなんですが
どうにもこの主人公の「佐伯」の属する老舗の
玩具メーカーのあまりにもステレオタイプな愚かさが
流石にやり過ぎっぽくて、ちょっと残念だったかも。
「佐伯」が社内で会社員としての保身と、人としての
倫理の間で悩み、鬩ぎあうためには、ある程度会社側が
愚かに描く必要はあるんでしょうが...これは余りにも
やりすぎ...かなー。こんな危機管理ゼロ会社なんて...
あるのかしらw? ウチの会社じゃあるまいしw。
そして最終的に主人公「佐伯」が決断した行動にも
ここまで引っ張っておいて、少々疑問は残ってしまう。

元々、好きなジャンルだし、身代金奪取の方法や
その恐喝者の正体などミステリ的にも読んでいて
盛り上がるので、充分楽しめたのは確かなんですけどね...。
どっかで沸騰するような展開や、主人公が葛藤するだけではなく、
企業全体が犯人と闘い、葛藤する構図の方が嬉しかったかも。

e0156857_974296.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-04-23 09:07 | 国内作家は~

三木 笙子 / 人形遣いの影盗み(東京創元社/単行本)

今作も人気絵師「礼」と雑誌記者「高広」とのベタ甘な
BLっぷりは健在...つーか更に加速w。どんだけ高広の事の
好きなのよ、礼くん!ホームズに、ホームズである事を
強要するワトソンなんていないってば。
そんな2人の関係性以外にも、高広の周囲の人達のキャラも
いいキャラに固まってきて、更にその下宿の主人も、新たに
登場して、今後のストーリーにいい味付けをしてくれそうな予感。

中短の5作で構成された今作ですが、はやり表題作が
秀逸ですね。乱歩作品を思わせる舞台設定と小技が
効いていて子供の頃に読んだポプラ社の怪人20面相シリーズ
を彷彿とする怪盗 vs 名探偵の構図にワクワク。ただし今作の
名探偵は嫌々な役回りですけどw。今後もこれを主軸にした
シリーズ展開に期待大。

それ以外の4編も今作らしく人との繋がりや関係や距離が
素敵に感じられる作品で相変わらずの好作品。中でもオレ様
キャラ風の礼くんの、素敵な夢が垣間見える短編に萌えて下さいw。

e0156857_23111942.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-04-21 23:11 | 国内作家ま~

誉田 哲也 / 感染遊戯(光文社/ハードカバー)

姫川シリーズ待望の新作長編は、ちょっとヒネリのある
スピンオフ的な作品。ここまで姫川シリーズに登場した
人物達をメインに事件が展開されていく。姫川はチョイ役w。
今作のシリーズは違法捜査も厭わない、ヤサグレ度マックスの
一匹狼「ガンテツ」が主人公。まったく感情移入出来ないその
図々しさと傍若無人っぷりは、一周して痛快。
一見関係のなさそうな序盤の各パートが、進むにつれ、
各事件の裏に潜むリンクが浮かび上がってきて、その意図が
浮き彫りになってくるのは圧巻で...面白いです!
敢えてこういった人物達で構成したのも凄く上手い気がします。

今作はただの絵空事という訳でもなく、このクニの情けない現実を
極端ではありますが危機感を持って書かれていて、この事件の
裏に潜む本質に対して、感情を揺さぶられる。個人的には
誉田作品で久々のヒット!

e0156857_22405248.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-04-20 22:40 | 国内作家は~

高殿 円 / カミングアウト(徳間書店/文庫)

自分は「トッカン」でハマった作家さんで、桜庭一樹、
有川浩に次ぐ、ラノベ出身の第三の注目作家さんとして
今後かなり脚光を浴びる...のではないでしょうか?
今作は4人の女性と1人の男性の群像劇で、それぞれが
日常的、そして慢性的に抱える心の鬱屈や悩みが、
それぞれのちょっとしたリンクや交差によって
解放されるというストレス解放、お悩み解決
エンタメ小説に仕上がっています。

自分の場所が分からず、家族との距離が上手く取れない
女子高生。自分のやや特異な趣味に理解を得られず、そして
会社の中で埋もれていくアラサーOL。家庭の中で妻と母との
均衡が取れずに一女性として不倫に走る主婦、40数年間をただ
ひたすら自分を殺して夫に仕えてきてしまった熟年女性。
そして40歳を過ぎても女性が怖くて未婚の管理職男性。と
世代もバラバラ、抱える悩み、ストレスもバラバラながらも
それぞれが今まで思い込んでいた常識から、少しだけ
踏み外した事で今までの自分を否定せずに、前向きに生きていく
事の何かを掴むという展開が、甘々かもですが好感が持てます。
今までの自分を否定するのは、やっぱり...切ないっすよね。

やはり今後も注目と期待大の作家さんだと思います。

e0156857_2352656.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-04-18 02:35 | 国内作家た~

京極 夏彦 / オジいサン(中央公論新社/ハードカバー)

これは何だか不思議な作品ですね。さほど京極作品を
読み込んでいる訳ではないんですが、こういった作品も
書かれる事に意外さと驚きを覚えます。
正直、読んでいて怖かったんです。後数十年後に訪れる
まるで自分の姿の様で、その余りにも滑稽かつ、枯れ果てた
姿にまるで自分を写してしまい、読み進めてもいいのか
微妙な心境でした。この主人公の七十二歳の「徳一」氏
の思考と行動が繰り返しループされる、一見濃いようで
その実薄く、長いようで短い時間の描写は余りにも
リアルに感じてしまいます。怖いなー。

終盤にまさか予想もしない方向へ転がっていくのは
サービスなのか、それとも希望なのか...良く解らないですが、
誰とも関わらずに生きているような「徳一」氏でも
こうやって結果的に誰かと繋がっているんだね。
数十年後の自分もそうであって欲しいな...と思うばかりです。

余談ですが...電子書籍が今後どうなるのか分かりませんが
やはりこういった素敵な装丁を手にして読むのは楽しい。
いち早く電子書籍に対応した京極さんだけに、その実感は重いです。

e0156857_1147374.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-04-17 11:47 | 国内作家か~

平山 夢明 / 他人事(集英社/文庫)

14編を収めた鬼才、平山氏の恐怖の短編集。一口に
ホラーで片付けられない黒くて、悪くて、臭くて、
痛くて、痒くて...な恐怖と悪意は満載ながらも
やはり平山さんらしく、何故か妙にシニカルで
ユーモアを感じる事が出来る不思議な作品集。
まるで冗談のように趣味の悪い、イヤーな夢を
見たかのように、展開される悪夢は自分の視界で
しっかり見てきたかのように強烈なのに、
全くナンセンスで不条理で、バカバカしくもある
くらい突拍子のない悪夢が故に、意外とトラウマ的な
後味の悪さは残さないのが...らしいです。

14編ともハズれはなく、SFチックだったり、妙に
リアルだったり、やけにファンタジーだったりと
バラエティに富んでいて飽きさせないです。確かに
読者を選ぶ作家ではあるのかもですが、「独白する〜」
とは違った意味で、これも良い短編集。

e0156857_17425759.jpg

[PR]



by neon_books | 2011-04-15 17:43 | 国内作家は~

private book review
by neon_books
プロフィールを見る
画像一覧

最新のトラックバック

フォロー中のブログ

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧