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夏寿司 / アリシアの三姉妹(講談社BOX/単行本)

ライトノベル上でキャラを重視しつつも
ある程度の本格ミステリにも挑戦したいんだ!
というような思いは充分伝わってくるんですが
やはりミステリの部分においては流石に若干の
苦笑をせざるを得ない...か。苦笑というよりは
しょっぱさすら感じてしまうのですが、
キャラクターと作品の性質上から許容は
出来てしまうんですけど...あくまでもミステリ・
テイストのあるライトノベル...って感じですね。

その3姉妹のキャラは頭脳派、武闘派、そして
天然(?)と、まぁスタンダードなんですがやや
詰め込んだ感もあって、途中ワヤな感じもします。
そして主人公であるホントつきである「真実一郎」
の熱いのか、ボケなのか分からないキャラも
やや中途半端かなー...と思えたり。

と色々アレですが、ライトノベル上でも
もっとミステリが読みたい自分としては
更なる活躍を期待する作家さんですよ。

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by neon_books | 2011-05-31 08:00 | 国内作家か~

深水 黎一郎 / エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ(講談社/文庫)

メフィスト賞受賞作家のシリーズ作、芸術探偵シリーズの
第一弾作品。1920年代、フランスのパリで悲劇的な生涯を
送った画家達...エコール・ド・パリを主軸にしながら、その
画家達の生き様と作品を、単純に知的好奇心を満足させる
作品としての側面と、その作中作とも言える、「呪われた
芸儒家たち」の章を伏線にしつつ、ミステリとしての好奇心を
満たす本格推理小説という、別の側面も待つ、実験的で
アクロバチックな作品。

その割には、案外、どちらの読み物としても
読み易く、しかも面白いというのは、なかなかの
力作ではないでしょうか? 基本的に全く興味の無い
絵画...しかも、どちらかというと超マイナーな画家たちの
作品や生涯にも充分面白く、興味深く読めます。

今作ではさほどメインとなって事件を解決するような
活躍を見せなかった探偵役の「瞬一郎」にやや肩透かしを
食った感があるのと、メインとなる画商の殺人事件が
繋がった形で露になる他の事件との関連が、どうもイマイチ
不自然に見えてしまった...というミステリ面での満足度が
個人的には...あと一歩っス。贅沢かしら?

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by neon_books | 2011-05-30 07:26 | 国内作家は~

西尾 維新 / 傾物語(講談社/講談社BOX)

改めてこの西尾維新という凄さを身に染みて感じた作品で
個人的にはスゲー力作なんじゃないかと思うんですが
ファンからしたらそんなに絶賛されてないんですね...。
そもそもこのシリーズでこの内容の作品を出す意味が
正直よく分からないw。勿論吸血鬼であり、もはや
何でもOK的なシリーズになったからこそ、可能な
作品だったんでしょうが、SFの王道とも言える
タイムスリップを軸にしつつ、パラレルワールドと
タイプスリップを、こんな分かり易く、提示しつつ
作品として面白く読ませるなんて過去、ドラえもん以外で
読んだ事がないッス。
それだけでも、この西尾維新という作家の文章を
書いて伝えるという能力の高さに感心です。

勿論ストーリーも逸品で、作中にはほぼ
「阿良々木」くんと「忍」ちゃんの2人しか登場せず、
その2人の会話と状況説明でしかないのに、このボリュームを
テンション下げることなく読ませるなんざ、至難の技だと
思うのですが...。どうなんでしょ?

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by neon_books | 2011-05-29 10:56 | 国内作家な~

貴志 祐介 / ダークゾーン(祥伝社/ハードカバー)

貴志さんの新作ってだけで既にハードルが上がって
しまっているのはきっとプレッシャーでしょうねー。
意外と肩透かし...的な評判が見られるのも、貴志さんの
作品にしては...という善いんだか悪いんだか分からない
条件付きみたいですw。
主人公達同様に、冒頭いきなり読む側の我々にも
一切の説明なく、「ダークゾーン」なる異境の地での
殺戮と戦闘を強いる展開。ゲームのルール説明も
最初はほとんどなくして、その七番勝負の幕は切って
落とされる。

設定やシチュエーションはゲーム性の高いサバイバルで
バトルロワイヤル以降の山田某や、土橋某あたりが得意とする
シチュエーション系の作品を思わせますが、命を賭した対局の
間に挟まれる断章によって、このゲームに至る主人公「塚田」
を中心とした事件の側面が浮き彫りになっていく辺りは
前述の方々とはやはり構成の各の違いを見せてくれます。
基本的には将棋を基盤にしたこのゲームのルールやバトルも
エグい描写のみではなく、そこに至る思考と策略のループと
裏のかき合いに脳みそが刺激されます。
ゲーム中、随所に見られる主人公「塚田」の戦略の甘さや、
不足する注意力は、断章に於いて、彼が何故こんな哀しい
結末を招いてしまったのか...という人物描写への伏線と
解答にもなっているような気がします。

実際、面白かったです。うん。面白いんですが....
ラストの着地が...確かに「アレ!?、ソレなの!??」という
感じは否めないw。その点が辛口な評価になってるのかなーと。

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by neon_books | 2011-05-28 21:21 | 国内作家か~

ドン・ウィンズロウ / ストリート・キッズ(東京創元社/文庫)

500P越えで読み応え充分だったなぁー(長いとも言うけどw)。
でも、飽きる事なく、何故だか作品自体が読む側の
人間を引き込む何かを持っている気がします。
日本でも人気あるシリーズですがその中でも、一番
この作品の評判がいいみたいです。

ストリートキッズだった主人公「ニール」が探偵としての
イロハを叩き込まれ、いまや立派な青年探偵となった彼が
渋々受けた上院議員の失踪した娘探し。アメリカとロンドンを
股にかけた追跡が始まるんですが、当然一筋縄ではいかず
トラブルに巻き込まれていく...。という割とシンプルな
展開と事件ですが、この主人公「ニール」の斜に構えつつも、
正義感のあるキャラと、そのニールを我が子と呼ぶ、探偵の師匠
「グレアム」との絶大な信頼関係が素敵です。疑似親子萌です。

一見単純に見えた失踪事件も次第にその失踪の裏にあった
真相が見えてきて、更に最後には、もう一段階上の真相が
待ち構えていて、この長かった読書時間も報われる結末に
なっていますw。特に何かが抜き出て凄い訳ではないんですが、
不思議と惹き付ける魅力のある作品でしたねー。

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by neon_books | 2011-05-27 05:02 | 海外作家

桜庭 一樹 / ばらばら死体の夜(集英社/ハードカバー)

タイトルにまずしてヤラレた感のある、ハードな作品でした。
「金」...それも借金...それもスゲー現実味のある借金が
巻き起こす蟻地獄のようなズブズブ感に、男女の念と身体が
絡み合ったなかなかにシンドい作品でした。
なのに...一気読みされるのは作品のパワーと構成力の
上手さの成せる技なんでしょうねー。
正直、脳神経外科に通うハメになった程の偏頭痛持ちで
医者に「兎に角、寝なさい!」と言われてるのに...
深夜に一気読みさせられてしまいました...orz

お金の話って本当に近い人には特に言えない悩みな上に
日常生活の全てに関わってくるが故、その人間のサイクルや
人格などほぼ全般に影響を及ぼしてきますよね...。
分かりたくないけど、凄く分かる分、怖さを通り越してしまいます。
そんな「金」にゆっくりと、静かに狂わされた男女が出会い、
ズルズルとした距離で終わらずに、更に、濁った目をしながら
最悪という結末に至る描写が上手過ぎて...無駄とは思いつつ
ハッピーエンドを期待してしまう、哀れな自分がいますw。

罪を犯すことで「金」の呪縛から逃れたように見える
ラストの主人公の姿は...既に死んでいる人間のような
怖さが滲んでいて、ここに作者の黒さまでも感じてしまいます。

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by neon_books | 2011-05-26 08:00 | 国内作家さ~

麻見 和史 / 石の繭 警視庁捜査一課十一係(講談社/ノベルス)

以前に一作だけ読んだ時の作品つ随分印象が違いますね。
どうやら作者の新機軸って事で警察小説です。
元々の路線の本格ミステリの要素と泥臭い警察小説の
融合という事らしいですが、確かに、事件の概要や
要所に出てくる手掛かりや、アイコンなどは
本格ミステリのテイストはあります。
理解不能なモルタル漬けの遺体、犯人による犯行声明と
その謎解きのヒント...etc なかなか事件の謎を上手く
演出してくれます。

一方事件を追うのは親子2代に渡って刑事となった
新人刑事「塔子」を始めとした捜査一課...という
警察小説の王道。次第に判明してくる事件の背景や
真相、そして犯人側の動機と、そこに至る心情の
経緯など...確かに探偵ではなく、警察小説に上手く
絡めて納得の作品ですね。

「白熱する頭脳戦!」って割には終盤の詰めでは
直感頼りだったりするのがやや拍子抜けですが、
「塔子」の脇を固めるサブキャラの刑事達も
いい味出してるし、もう少しこのメンバーでの
活躍を読みたくなります。

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by neon_books | 2011-05-25 07:19 | 国内作家あ~

高野 和明 / ジェノサイド(角川書店/ハードカバー)

590P,もの凄い読み応えですが、それ以上の読後の
高揚感を味合わせてくれる快心作。今のトコロの
2011年度のベスト1です。凄い!
全人類の存亡のかかったという大袈裟なテーマと共に
家族という最小にして最愛の繋がりえも描き、ラストの
落としどころも文句のない素晴らしいもので
本当に読んでる時間も、読み終わった後も感動という
言葉がグイグイと胸を押しています。スゲーなー、
こんな作品を書ける才能と努力に惜しみない拍手を
送りたいです。

実は序盤は、難しい用語や人物や状況を把握、理解
するのに読むのを苦戦しておりました。日本、アメリカ、
コンゴの3カ国を舞台にストーリーと謎がバラバラに
進んでいくのですが、200Pを越えたあたりから、
そのバラバラな物語が一つのポイントに序々に
集約されていくと、俄然食い入る様に、貪り読み始めて
しまいます。
なので、もし、前半戦で苦心しても、騙されたと思って
200Pまでは頑張ってくださいw。絶対にその頑張りは
報われますからw。

人間の持つ凶暴性、残虐性、そして愚かな本質が
剥き出しになった戦争という、もう一つのテーマも
ストーリーと密接した距離で描きながらも、そこには
絶望や虚無ではなく、「古賀研人」と「李正勲」そして
「イエーガー」などという人物達の行動によって
まだ、明るい未来と可能性を残しているところも
なんとも清々しい気持ちになる。

貴志祐介氏の「新世界より」もそうですが
こんな壮大なストーリーがたった一人の人間の
頭の中で作られ、描かれている事が凄いと思うのです。

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by neon_books | 2011-05-24 09:06 | 国内作家た~

犬飼 六岐 / 囲碁小町嫁入り七番勝負(講談社/ハードカバー)

「囲碁小町」と呼ばれ若き女性ながらも凄腕の囲碁打ちと
評判の「おりつ」に自身の嫁入りを賭けた真剣七番勝負が
持ち込まれる。数々の強豪達と対決する事になった「おりつ」
を描く幕末・青春、囲碁小説。

...なのですがガッツリとのめり込んで読むのはシンドかったス。
以前に読んだ「ヒカルの囲碁」での知識もほぼ薄れていて、
基本ルールが分からずに、まず苦戦。丁寧に書かれてはいるの
ですがいかんせん、囲碁のルールや白熱する展開を、文字のみの
活字で表すには読み手側の協力が必要...かなと。
それでも、頑張って読むのですが、七番勝負自体が
途中から勝負そのものの描写の熱が、急に下がってきて、
何を楽しく読めばいいのか...分からなくなってきてしまいました。

勝負そのものの緊張感ある熱なのか、師匠との素晴らしい関係から
「おりつ」が囲碁を通して成長する様なのか、賭けの対象にされた
自身の縁談、そして恋愛なのか...どこを楽しく読めばいいのか
散漫で、しかも、このラストでは...スッキリしない感100%でした...。
自分にとっては残念です。

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by neon_books | 2011-05-23 07:59 | 国内作家あ~

佐藤 青南 / ある少女にまつわる殺人の告白(宝島社/ハードカバー)

出たっ!流石「このミス!」w。2011年の優秀賞受賞作です。
数年前の受賞作にもあったんですが、どうしても「告白」を
彷彿とせざるを得ないです。当選選考の際にもそういった
話しにもなった...と思うんですが...。
虐待を受け続ける少女に起った一つの事件。
その事件をルポルタージュ風の、インタビュー形式という形で
当時の事件関係者...(この関係者が、また多数いて読み難いw)の
告白、独白という形でひたすら振り返る形で構成される。

「亜紀」という虐待を受けた少女に実際、何が、どんな
事件が起ったのかすら終盤まで明かされる事なく、
ただひたすらにインタビューと独白にて「亜紀」達家族の
について語られるのですが、正直...飽きてきてしまうんですよね。
核のなる部分が想像出来る範疇だけに、この一辺倒な
スタイルでは引っぱりきれてないように思います。
そしてそのテーマも作品トーンも含め、やはり念頭には
「告白」が常にあるのは仕方ない...ですよね。
読み手側の所為だけではない...ハズ。

色んな意味で一筋縄ではいかない...
流石「このミス」大賞!

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by neon_books | 2011-05-22 21:42 | 国内作家さ~

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