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横関 大 / グッバイ・ヒーロー(講談社/ハードカバー)

前作の乱歩賞受賞作とは大きくイメージの違う
受賞後第1作目の今作。かなりくだけて、ライトな
感覚の青春小説のようなテイストになっています。
こっちの方が読み易くて、合っているような気もします。

宅配ピザでバイトをしながらバンド活動を続ける
主人公の「亮太」がある日、配達先で巻き込まれる
人質立て籠り事件。その事件をきっかけに人質だった
謎の「おっさん」と出会う事で、なんだか更に
その「おっさんの厄介を請け負う事になる...という
気のいい青年が、その親切心を全開にする事で
バタバタと事件に引き込まれるという...まぁ...
ありそうな設定ではあります。

この余りにも困った人を見捨てられない性格
(おせっかい??)の「亮太」くんが、余りにも善いヤツなのと、
やけに肝が座っていながらも、妙に冴える推理っぷりに
少しだけ自分は距離を置いてしまったのですが...
どうなんでしょうね?? しかもこんな好青年が演ってる
バンドってのもなんだかイマイチ興味も湧かないし、
面白みに欠けてしまう気がして...
というのは自分の性根が歪んでるからかな?

事件から数年後という設定の第二部では、限りなく
全てが善い方向に進んでいくハッピーエンドなのは
素敵な事ですが、余りにも安直かつご都合的...
に思えてしまうのは、少し調べたり、多少好き...
程度でロックを題材にしてるから? かもしれないなー。

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by neon_books | 2011-06-30 23:05 | 国内作家や~

愛川 晶 / 三題噺示現流幽霊 神田紅梅亭寄席物帳(原書房/ハードカバー)

待望の...本当に楽しみにしてた神田紅梅亭~シリーズの4作目。
今回はなにせ馬春師匠の待望の復活高座をメインに
そこに至るまでのストーリーが展開されます。
前半戦のいつも通りの高座、落語、寄席にまつわる謎を
主人公である「福の助」とその師匠「馬春」が解決。
そしてその解説は、落語にて一件落着というスタイル。

表題作の三題噺~は愛川氏自身による創作落語を
基本に書かれているんですが、この噺自体がかなりの
良作です! 認知症の「文吉」師匠の噺もいい感じですが、
やはり「福の助」アレンジによる示現流幽霊のほうが
現代アレンジかつ、分かり易いユーモアでサゲまで含め
素晴らしいです!

更に最終話は...もう涙と笑いと驚きが交互にやってくる
まさに落語エンターティナー小説の真骨頂。伏線の張り方、
そしてその回収は作中の落語にかかっていて、本当に
見事としかいいようがないです。「馬春」師匠の
茶目っ気と、髄まで芸人らしさといい、そして何より
その照れ屋だけど、優しい人柄にニンマリです。
良かったなー。本当にいい結末です。

更にはおまけの特別編での演出お素晴らしい!
最後の最後、最後の3行に...堪えていた涙の
防波堤決壊です。心からの拍手を送りたい作品!

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by neon_books | 2011-06-28 21:24 | 国内作家あ~

佐藤 友哉 / デンデラ(新潮社/文庫)

なんと言うか...凄く感想の書きにくい作品です。
勿論、胸に凄いブっ太い楔を打ち込まれたような衝撃と、
作品としての面白さがあって終始引き込まれっぱなしなんですが...
読む側も決してラクじゃない疲労感が伴います。
「楢山節考」がベースになっているんでしょうが、
今作はその先...山に捨てられた老婆達のその行方と、そもそも、
その行為自体を受け入れたのか??
という真逆の出発点からストーリーは始まる。

雪深い山の中に置き去りにされながらも、その怒りと悔しさを
糧に生き延び、「デンデラ」なる独自のコミュニティを構築し
暮らす老婆50人。この設定だけでも結構、トンでますがその
「デンデラ」に襲いかかる巨大な雌羆、そして疫病。
この小さなコミュニティに次々と死が蔓延する。
一度は捨てられる事で、極楽浄土へ旅立つ事を望んでいた主人公
「斎藤カユ」(*70歳だがここでは最年少)の生と死の間を揺らぐ心情、
そして年老いても尚、人間の持つ厭らしさ、そして美しさ...様々な
感情が渦巻きながらも「斎藤カユ」の辿り着いた先、
そして「デンデラ」が迎える終末は...。

途中熊との凄絶な戦いはさながらスプラッター混じりの
パニック小説のようだし、「斎藤カユ」が終盤に披露する
疫病の真実はミステリでもあるし...と読みながら、休むトコの
無い密度の濃い作品ですね。恐らく今作までの友哉氏の
イメージを壊した作品なんではないでしょうか?? 自分は好きです。

しかし...これを実写で映画化...って!!!
凄い内容だろうなー。老女のみ50人しか出ないんだよね。
観たい...かも。

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by neon_books | 2011-06-26 23:17 | 国内作家さ~

中山 七里 / 魔女は甦る(幻冬舎/単行本)

カエル男で別の側面を見せグっと評価を
上げた中山さんの新作は、そのカエル~を
思わせるようなエグみのあるバラバラ死体
の発見から事件が始まる。

その前作は後半になるにつれ、その犯人像と
真相が二転三転するドンデン返し攻撃でしたが
今作はその真相と犯人自体がすでに相当に
トリッキーで驚かせてくれます。ただ欲を言えば、
この真相に辿り着く行程に、もう少しのミスリードや
人物や事件があると、驚きは増したのかも...?

被害者である好青年「桐生」の人物像を
探っていくと、単に被害者というだけでなく
尋常なまでの攻撃性を引き起こす薬物の開発、
そして「桐生」自身の複雑な過去が明かされ、
捜査は混沌としていく。

やはり面白い作品を書きますよねー。
被害者そして主人公の過去に傷を持つ刑事「槙畑」、
そしてその相棒となった「宮條」など登場人物の
描写も上手く、それぞれ立場での正義という
キーワードと視点で描き分けしていて各人物に
感情移入しやすいです。

しかし...カエル同様に事件を追う主人公の刑事は
本当に満身創痍ですなーw。

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by neon_books | 2011-06-25 13:42 | 国内作家な~

ジャック・ケッチャム / 隣の家の少女(扶桑社/文庫)

前評判から分かっていたので、胸の奥が刺し込まれるような
痛さが終始付き纏う、読みながら本気で辛くなる作品でした。
分かっていて読んでるので、仕方ないですが、まさか
ここまで....とは。ここまで読み途中でシンドくなる作品は
過去に出会ったことないかも。
なのに、最後まで読んでしまうのは、自分もこの
語り手である「デイヴィッド」同様に残酷な傍観者に
なりうる可能性が充分にあるから...なのか?

内容やあらすじを書こうとするだけで、辛くなるので
書けませんが...決して人に「是非!」と勧める作品ではなく、
人間の残酷さ、狂気、そして子供といえども、こういった
部分を支配下に置かれた環境では関係なく、そして
際限なく流出してしまう...という恐怖。
そこに嫌悪を抱きながらも、少女を助ける事もなく、
ただひたすらに傍観するという事で付き纏う悲劇。
ごくシンプルな構図のストーリーながら、ここまで
オブラート一切なしで書ける作者の精神も尋常ではない...のかも。

珍しく読書...を躊躇うことになったトラウマ作品になりそうです。

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by neon_books | 2011-06-23 11:42 | 海外作家

西澤 保彦 / 必然という名の偶然(実業之日本社/ハードカバー)

6つの短編からなる連作集...のような作品。
どの話もそれぞれ短編として単独でも充分に
楽しめますが、最後の書き下ろし作「エスケープ・
リユニオン」では、途中に登場するアイコンの
同窓会名簿と上手く繋がってきます。
こういう小技)?)は流石に上手いですよねー。
こねくり回すような推理も読んでいて、
穿ち過ぎだろー...と思いつつも妙に説得力充分。

どの話も、確かに偶然というテーマを
タイミングよく、そして効果良く使われており、
ミステリでは嫌われる事の多い「偶然」を
まさにタイトル通り、「必然」に思わせる
書き方でこちらにも思わず上手い! と
呟いてしまいますね。
その中でも、主人公の運命を真逆に
変えてしまう事になる「鍵」が何とも
救えなくて、後味の面でも、一票!です。

エロ度は相当控えめでしたが思わぬ収穫キャラの
大富豪探偵!!の活躍(?)と暴挙が素晴らしいw。
筒井康隆氏へのリスペクト...? なのかな?

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by neon_books | 2011-06-21 01:35 | 国内作家な~

ドン・ウィンズロウ / 仏陀の鏡への道(東京創元社/文庫)

ストリート・キッズ上がりの若き探偵「ニール」の
苦難の活躍を描く第2作目。今回も563ページ...
な、長いっっ!! 事件はアメリカの画期的な発明を
した博士が、中国人女性に恋をして駆け落ち同然に
失踪してしまった...その博士を連れ戻す...という
だけのごく単純な事件なのに、ニールはトンでもない程
大事に巻き込まれていく。本当に死線を彷徨うほどに
トンでもない目に合うのです。

24歳という彼の若さと、結局のところ人の良さ、
そして何よりも美人に惚れっぽい! という
探偵として致命的な欠点を抱えてるのに、
自分はキレ者気取りのところが駄目すぎて
可愛くて仕方ないですw。
更にニールの文学好きも分かりやすくて、
今作では「紹伍」という通訳の青年と飲んで
語らうシーンは、キレ者っぷりはなく単なる
気のいい若者で微笑ましい。
因みに最後の最後でこの「紹伍」くんは
素敵な演出をしてくれる、今作の重要キャラ...かもw。

70年代の混沌とした中国の政治と時勢を
アメリカ人作家がここまでエンタメ作品中で
描くことが驚きだが、ややこの部分が長くて
読んでいてシンドくなるのも確か...。

とは言え、余りにもニールの過酷な今回の
いきさつに圧倒されるが故、超単純なラストの
どんでん返し(?)にまんまとひっかかって、
奇麗に騙されました! そして、親父さん「グレアム」の
ニールに対する想いに少し...涙がw。
また次作も楽しみ!

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by neon_books | 2011-06-19 07:54 | 海外作家

近藤 信義 / ドッグオペラ(アスキー・メディアワークス/文庫)

長い。しかもテンポが悪く長いもんだから
正直...苦痛でした。ごめんなさい。申し訳ない。
自分には合わなかったようです。

ハードボイルド風、ハードボイルド調の言い回しや
無駄な比喩が多過ぎてストーリーが素直に入ってこず、
なんか生理的に相性の悪さをひたすた感じてしまいました。
異能者のバトルと任侠風ハードボイルドの融合なのかも
しれないのですが、もはや自分にはその楽しみ方が
出来ずにただ、ひたすら主人公の行動にも疑問符が。
そしてその親友、恋人の行動にも疑問符が...なぜこんな
事件になってるのかも、ここまで掻き回す必要があるのかも
分からずせ終わってしまいました。
ただただ長かった...。540Pの苦行を終えた気分です。


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by neon_books | 2011-06-18 22:45 | 国内作家か~

綾里 けいし / B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる(エンターブレイン/文庫)

第11回「えんため大賞」優秀賞作品の今作。美少女と
チョコレートとゴスロリと唐傘...そして残酷で
グロ度高めなミステリアスな怪異の数々。
ライトノベルらしい要素が盛り込まれたデビュー作
ですが、終始シリアス目なトーンがまず、好みで
思いのほか引き込まれてしまいました。

ヒロインの「繭墨あざか」の持つ謎めいた能力と
その生い立ちや因縁。そしてその助手にして
主人公の「小田桐」が秘めた怪異の謎と彼の過去が
後半にシンクロして明かされる手法は新しく、
ゾクリとする快感があります。
ただし、時系列が「小田桐」視点で何度か切り替わるのですが
その部分がやや、読み難いかな...と思ったりもして。

既にシリーズ化され、続編が出てるので、暫くは
追って読みたくなる作品。まだまだ、今後に
楽しみな伏線も盛りだくさんだし、楽しみです。

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by neon_books | 2011-06-17 05:58 | 国内作家あ~

壁井 ユカコ / イチゴミルクビターデイズ(角川書店/文庫)

07年にメディアワークスから刊行された作品に加筆、
修正した文庫化作品。基本的にライトノベルや
ジュブナイル作品が多い壁井さんですが、今作は
(本人的には)異例の大人向けな青春小説かつ、
恋愛小説です。
主人公の「千種」の17歳の女子高校生時代の過去と、
その7年後の24歳、OL生活の現代が交互に展開されます。

17歳の頃が敢えて、イチゴミルクだとするならば、
現在は大人になって何かを置いてきたビターな
日々なのかもしれません。でも、そんなビターな日々でも
苦みしかない訳ではなく、甘く、キラキラした日々が
あっての苦みなんだと。
大人になる事は寂しいけれど、甘いだけのコーティングされた
日常では味わう事の出来ない良さってのもあるんです。
なかったら...それはシンドすぎるよね。

高校時代に親友と呼べた時期のあった「鞠子」が7年振りに
いきなり3千万の現金を持って現れてから、「千種」の生活は
少しづつ変わってくると共に、当時の甘いイチゴミルクな
味は自分の舌に合わなくなっている事に気付く。
そんな女性による青春小説。自分のようなオッサンには
どこまでリアリティがあるのか、想像でしかないんですが
きっと...共感する女性が多いのかな? と思われる
郷愁と甘酸っぱさがキュンとさせる...(妄想)
良作なんでないでしょうか??

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by neon_books | 2011-06-16 07:30 | 国内作家か~

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