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大崎 梢 / キミは知らない(幻冬舎/単行本)

何故だか分からないけれど、書店員シリーズ以外の
作品が個人的にはハマらない大崎さんの新作。
地方の街で起きる自然、言い伝え、伝承などが
基盤にある事件と伸びやかで素直な少女が
上手く溶け込んで大崎さんらしいミステリになっています。

5歳の頃に、見知らぬ土地で火災事故にあって
返らぬ人となった父が書いた著書をきっかけに
短期赴任の臨時講師「津田」と出会う事になる
主人公の少女「悠奈」。仄かな恋心とともに
父親の思い出を語る事に出来る相手だった「津田」
がいきなり学校を去っていく事で事件は急に動き出す。
「津田」を追った先で様々な人に出会い、様々な事件に
巻き込まれるのだが、あくまでも父親が見知らぬ土地で、
知らない若い女性と共に事故死した真相を追う事。
そしてなにより胡散臭さを感じながらも「津田」を
信頼する事で事件を乗り越えていく姿が健気です。

こういった地方の学生の姿と、昔からの地方にある
伝承される言い伝えや文化を取り入れるスタイルは
他の作品でも見られますが上手いですね。
...
...
でも、やはり個人的には書店員シリーズの
新作が待ち遠しいなー。

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by neon_books | 2011-07-31 16:53 | 国内作家あ~

本城 雅人 / Almighty (文藝春秋/ハードカバー)

野球小説でデビューを飾った本城氏の新作。
たまたま別の作品で野球絡みのミステリを
読んだばかりでしたが、やはり、こと野球に
関しては本城氏の得意とする分野だけあって
凄く説得力のある内容になっています。

野球をテーマにしながらも、今作の主人公は
日本ではまだ余り馴染みのない代理人というところも
なかなか興味深い。人気球団との交渉に入った
人気実力のある投手の代理人として「善場」が
交渉にあたる中、かつての「善場」のクライアント
であったスター選手が失踪というトラブルが起き、
その行方を探す事になるのですが...。

ゆっくりと事件が進み、一体失踪の裏になにが
隠されているのかが、余り分からず、そして
グイグイと興味を惹かれる類いのものでもないので
ややダルい印象もありましたが、要所に野球という
スポーツの持つ表側では無い部分の描写や、選手が
抱える、我々には分からない悩み、苦悩が描かれていて
なんだかんだと最後まで読ませる作品...だったですw。

事件の真相やラストの展開はあまり後味の良いものでは
ないのが個人的には残念。出来たら氏による、痛快で
気持ちの高揚する王道の野球小説が読んでみたい...。

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by neon_books | 2011-07-22 17:24 | 国内作家は~

越谷 オサム / 陽だまりの彼女(新潮社/文庫)

ポップな青春小説の名手、越谷氏によるド甘な
恋愛小説の文庫化。この文庫化で再度取り上げられると
もしかしたら、メチャ売れる作品になるんじゃないですかね?
キャッチにある「誰かを好きになる素敵な瞬間と、
同じくらいの切なさもすべてつまった完全無欠の恋愛小説」は
嘘じゃないッス。売れて欲しいなー。

読み始め暫くから、もうなんか切なくて息苦しい
バッドエンドに向かっていく雰囲気が満載なのに、
若い2人のキラキラしてベタベタに甘い恋愛に
心持っていかれます。ただの馬鹿ップルの
イチャつきではなく、お互いがお互いを想い
成長しようとする姿がイジらしいです。
こういった甘い展開も上手く書くなー。

終盤の涙が自然に溢れてくる、余りにも
切ない展開に胸が苦しくなってきますが
そこは放っりぱなしではなく、今度は良質の
ファンタジーとして、上手く、ストン...と落としてくれます。
「真緒」のご両親との再会、そこでの会話に
溜めていた涙が溢れ出し、ラストの公園での
「僕たち」の再会。そしてあの台詞に...ホッと
安心しつつもニヤりとさせられますw。
中学に出会ってからずっと惚れた弱みなんだねぇ...
「浩介」の嬉しくも甘々な苦労は続くんだね。

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by neon_books | 2011-07-20 00:06 | 国内作家か~

ヴィカース・スワループ / 6人の容疑者 下(ランダムハウスジャパン/ハードカバー)

さぁ、下巻に突入。正にタイトル通りに6人の
殺人事件の容疑者達の群像劇の後半は次第に
それぞれが事件現場に向かう事になる動機が
明かされていくのですが、この6人の動機が
もの凄いバラバラなのに、銃殺された最低野郎
「ヴィッキー・ラーイ」のもとへと集まって
くるさまが非常に上手く、そして面白く書かれていて
なかなか、ページを捲る手が止まらないです。

当然、ラストに向かうにつれ、この事件の
真相が明らかになり、所謂犯人が明かされるのですが
これがまた真相が二転三転し、一体どれが真実なのか、
どの真相を信じてよいのか分からなくなる程、巧みに
煙に撒かれていきます。
そして、そんな中にもやはりインドという国が
抱える「正義」とう事に対する歪みを、
告発するかのように書かれています。この辺りが
やはりこの作家の面白さと作品の強さを支えて
いるように思います。

そして、最後の最後で明かされる本当の真相は
それを裏付けるかのような意外性充分な犯人の
独白...という形でストーリーの幕が閉じる。
ミステリ的にはやや、雑で乱暴かなー??と
思ったりもするんですが、どうにもその辺りは
甘くなってしまう程、6人の容疑者達の事件前と、
事件後が紡ぐストーリーが秀逸。
3作目ももう今から楽しみ!

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by neon_books | 2011-07-15 09:11 | 海外作家

ヴィカース・スワループ / 6人の容疑者 上(ランダムハウスジャパン/ハードカバー)

「ぼくと1ルピーの神様」でデビューし、いきなり40カ国語以上で
翻訳され、映画も大ヒットしたスワループの待望の2作目。
今度は上下巻で、ボリュームもたっぷりです。
2作目でコケる...なんてありそうですが、この上巻を読んだ
限りではそんな心配は不要な気配。

当然舞台はインドですが、その片田舎で悪名高い実業家が
パーティー会場で射殺される事でこの作品は動きだす。
この被害者がトンデもない程の最低野郎で、殺害されても
仕方ない...ほどのクズ野郎ですw。その容疑者はパーティー会場に
にいた6人に絞られる。元官僚、女優、部族民、携帯泥棒、
アメリカ人、そして父親達。この6人はそれぞれに動機を
持っているらしいのですが、その動機を巡る物語りが
群像劇のようにそれぞれが語られますが、このそれぞれの
ストーリー自体も相当に面白く、6つのストーリーに
引き込まれてしまいます。

相変わらずインドという国が抱える犯罪問題や
政治情勢もチクリと、そして何度も刺すように描写しつつ、
この6人がどう繋がってくるのか興味深いです。
まだ上巻だし、語られていない物語も多くあり、下巻での
スピード感ある展開が予想されます。

因みに今作も既に映画化が決定してるようです!
観たい!

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by neon_books | 2011-07-11 01:57 | 海外作家

古野 まほろ / 命に三つの鐘が鳴る Wの悲劇’75(光文社/ハードカバー)

恐らく「天帝シリーズ」ファンからしたら微妙な
作品ではないでしょうか? 自分は相当前に1作目
だけしか読んでいないので、今作にはすんなりと
入っていけたクチですが...。
そして、いわゆる警察小説ファンが手に取りそうな
外見をカモフラージュしてますが、やはりまほろ作品
なんでしょうね。素晴らしい内容。素晴らしいミステリ。
今作も2011年度のベスト3に入りそうな程、面白いし、
熱くなる作品です。まさか涙を零しそうな瞬間が
何度もくるとは思ってなかった。

かつての思想闘争、革命の同士と袂を分つ形になった
「二条」のもとにその親友が自首をしてくる。しかも、
彼は彼の組織と敵対する組織の女性幹部を電車内で刺殺して!
その動機を巡ってかつての友同士は闘いながらも、
同じものを守り、そして結局は同じ敵に対して共闘するように
その事件の真相を紡いでいく。
まさに圧巻。そして傑作。

ミステリとしてのその真相へ迫る手順と、まさに警察小説
である物証への執着。その物証から導かれるロジカルな
物語の構築。積み重ねるようなその冷静な推理。
そして動機面におけるあまりにも切なく、
哀しく、男たちのラストの慟哭に近い切実な言葉に
グっとくる対比が素晴らしい。いや、ほんと傑作!!

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by neon_books | 2011-07-07 22:00 | 国内作家は~

石持 浅海 / ブック・ジャングル(文藝春秋/ハードカバー)

石持作品にたまにある、なんじゃこりゃ!?的な
トリッキーな作品。閉館が決まった深夜の図書館に
忍び込んだ男女5人。この男女がまず、全くの他人なのに
偶然にも同じ日の深夜に、別々の理由で図書館に
忍び込んでる...って設定がもう...w。
更にその忍び込んだ図書館で、いきなり3機の
ラジコンヘリコプターに襲われる!! という
なんだかスゲー展開w。しかもこのヘリには
毒針まで搭載され、殺人仕様になってるんだから
さらに凄い。

なんだか良く解らんうちに、読者もこの混乱した
事態に巻き込まれていくんですが、どうにも
この殺人ヘリが怖いんだか、そうでもないんだか
分かり難いw。ハンカチで撃退出来たりするヤワさと、
武器の代わりにコショウ爆弾を搭載したりと、
なんか緊張感に欠けるんだよねー。
そしてその犯人の実体も中盤から露になってくるんですが
相変わらず、石持作品らしく、動機が...w。
しかも今回は思い込みがハンパじゃないっスw。

と、一見否定的に見える今作の感想ですが、本当は
凄く好きな内容でしたw。スゲー短時間でサクサク読めるし
図書館の書架を密林に見立てた、命を張った逃亡は、子供の頃
図書館でやりたかったかくれんぼを思わせます。
突っ込みや粗探しナシで、かる~い気持ちでゼヒ。

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by neon_books | 2011-07-06 01:59 | 国内作家あ~

貫井 徳郎 / 夜想(文藝春秋/文庫)

ズゥーンと重たい方の貫井作品。やはり読んでいても
なんだか精神的疲労を伴うのですが、それが決して
不快じゃないんだから、やはり凄い。
ミステリ作家の描く宗教作品の場合はどうしても
カルトに寄ったものが多いイメージですが、今作は
もうガチでテーマが救済だけあって、まるでイメージ
したものと違ったのも自分にとっては良かったような
気がします。

本当の絶望の中から抜け出すという事。救済とは
どういう事なのか。そして新興宗教というシステム。
様々な事が絡み付きながら、ゆっくりと静かに
ストーリーは常に破滅ち終焉を孕みながら進んでいく様は
ある意味圧巻で、ページを捲る手と目を休ませてくれません。
主人公の「雪籐」の視点のパートと、母娘関係の破綻から
家出した娘を探す主婦「嘉子」のパートが挿入されて、
展開されるのが少々疑問だったのですが、終盤にその
2つのパートが交錯し、この2人が繋がってくる時の
恐怖と驚愕は、流石ミステリ作家。救済をテーマにしながらも
ただ重く描くだけではないところが流石。

500P越えの長編ですが長さを感じず、かと言って
軽く読み流せる訳ではない、貫井さんらしい楔を
打ち込むような作品。そして珍しく読後感は...
悪くないです。

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by neon_books | 2011-07-05 02:08 | 国内作家な~

葉山 透 / 0能者ミナト(アスキー・メディアワークス/文庫)

おっ!?? アレ!? 予想に反して面白いっす!
この前に読んだのがケッチャムだったから
実はかなりシンドさが尾を引いていたので
軽い作品が読みたいと思って手にしたんですが...
思いのほか楽しく読めてしまいましたw。

人間に害を成す「怪異」や「呪い」に対抗する
異能力...法力...霊力を持って対峙する総本山の
秘蔵っ子である巫女の「沙耶」。そして10歳にして
異能力の天才児「ユウキ」。この2人を持ってしても
手こずる怪異を全く能力を持たないただの人間...
しかも人格やや破綻者である「九条湊」が
突拍子もない発想と視点と精神力で、痛快に
解決していきます。この「湊」のキャラはよくある
ダメ男キャラ全開で、ステレオタイプな気もしますが、
毒舌、皮肉っぷりの影に潜む照れ屋で、おせっかいな
一面が上手く書けていて、結局、彼のキャラに
惹かれてしまいます。

前述の「沙耶&ユウキ」とのトリオもなかなかに
いいコンビネーションで、続編に寄せる期待度も高いです。
自分的には思わぬ収穫w。

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by neon_books | 2011-07-03 01:56 | 国内作家は~

歌野 晶午 / 放浪探偵と七つの殺人 増補版(講談社/文庫)

増補版として未収録だった作品を追加しての
新たなな文庫化。ご本人もあとがきで触れていますが
この放浪探偵の「信濃譲二」シリーズは今後一切
書かないとの事で、シリーズとして完全に
完結しているんですね。その当時に「動く家〜」を
読んだだけなので、今回改めてこの「信濃譲二」
シリーズに触れられた事が新鮮。

なぜだか分からないけれど、イマイチ探偵役の
信濃ではなく、その信濃に愚弄(?)される警察や
関係者や、そして犯人側に同情に近い感情を抱いて
しまうという不思議な探偵。事件が彼を招くのか、
彼が事件を呼ぶのか、何故か事件周辺にいつも
彼がいて、皮肉混じりに事件をサラリと解決して
しまうのですが、解決の余韻自体はさほど、
いいものではないところが、このシリーズ。
ひいては歌野作品の面白いところなのかもしれません。

中短編とはいえ、本格派な内容でそのトリックや
事件のプロセスなどは長編に劣るものではない今作。
もう読めない「信濃譲二」という変わった探偵の
事件簿としてミステリ界に残しておいて欲しいなーと。

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by neon_books | 2011-07-01 15:57 | 国内作家あ~

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