the books

<   2012年 11月 ( 2 )   > この月の画像一覧




綾辻行人 / 水車館の殺人 - 新装改訂版 (講談社/文庫)

当然ながら再読ですがもう既に十数年前の話なので
気持ち的には初読同然。
勝手な推測ですがデビュー作の「十角館」の出来の
素晴らしさと賞賛...そのプレッシャーたるやハンパでは
なかった状況に於いてのこの2作目。「十角館」の持つ
瞬発力と破壊力のあるトリックとは、異なる今作の
あまりにも王道でオーセンティックな本格ミステリは
当時にしても、スレスレ風化して錆び付いたような
所謂、推理小説への可能性と、その在り方を強く持って
書かれた、ある意味綾辻氏のコアな部分なのかな...
なんて思ったり。

解説にもありますが、確かに単純に犯人探しに
おいては容易に感じる部分もありますが、そこは
「館」とその設計者「中村青司」、「探偵」。
更には天才幻想画家の幻の遺作、幽閉の美女...etcの
ゴシック感のあるアイコンと手法で、単純な
犯人探しの他に充分楽しめ、惹き付ける要素で
作品の雰囲気をもり立てています。そしてフェアな
手掛かりによってその犯罪が明らかになっていく様は
推理小説の醍醐味。
「十角館」には及ばないながら(比べるものではないんでしょうが...)
ラストの着地もバチっ!! と決まっています。

現代小説の持つスピード感も当然、好きですが、こういった
作品の持つゆったりとしたスピードも...やっぱりいいもんです。
e0156857_1650591.jpg

[PR]



by neon_books | 2012-11-29 16:50 | 国内作家あ~

ユッシ・エーズラ・オールスン / 特捜部Q 檻の中の女(早川書房/文庫)

570Pとなかなかの大作ながらまったく退屈せずにラストまで
読める快心作。恐らく以前の自分ならバリバリに徹夜で
一気読みしたと思われます。人気作なのも頷けます。

なかなか馴染みの浅い国デンマークを舞台とした
近代刑事作品なのですが、主人公の人物造詣が抜群で
自分のようなそろそろ人生の終わりを気にし始めた
初老にはなかなかエモく、感情移入たっぷりで読んでしまいます。
悲哀と苦悩とあきらめと、でも、まだ生きなければならない事に
対する彼なりの答えがグサグサ刺さる。
その主人公カールは過去の事件から署内では、扱いにくい
人物としてつまはじきにされる。そこで厄介払い同然に、
未解決事件のみを独自捜査するという新部署「特捜部Q」として
たった一人回されることになる。
着手した事件は5年前に突如消息を絶った女性議員事件。
アシスタントとして現れたシリア系の青年と、コンビを組んで
事件を追うのですが...。

この捜査方法も王道捜査でいわゆる突飛なものではなく
非常に緊迫感を持って、読者側も同じ目線で捜査に加わってるような
雰囲気です。このシリア系青年アサドも、人懐っこいのに
確実に重い過去を抱え、背負いながら生きているという思わせぶりな
設定なのが、カールとのコンビにいいスパイスになっているようです。
キャッチにはこのアサドが変人...というようなアピールですが、
恐らく日本の小説や、自分のようなラノベまで手を出した人には
その変人っぷりはいささか薄くはありますが...。でも凄く気になる
存在で好感持てるキャラです。

ラストも雑に大円団を迎えるのではなく、ここでも様々な状況、
生活、環境下において生きることの悲哀を描きつつ、ラストに向かって
いくところが憎いですね。

既に3作まで翻訳刊行済みらしいので、久しぶりにこれは
図書館利用してまで読みたいなー。と。

e0156857_14115979.jpg

[PR]



by neon_books | 2012-11-06 14:11 | 海外作家

private book review
by neon_books
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

最新のトラックバック

フォロー中のブログ

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧