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麻見和史 / 蟻の階段 警視庁捜査一課十一係 (講談社/ノベルス)

女性刑事「如月塔子」シリーズの2作目。
今回の事件は異例の殺人事件現場だった。
遺体の周りを囲むように配置された四つの品物。
頭蓋骨、白い花、掛け時計、スープ皿だった。
さらには犯人と思われる人物から、退職した
元刑事に犯行声明のような電話が入る。
この2つの方向から塔子達は事件に迫っていく。

無骨でハードな警察小説というものでもなく、
かといって探偵による冴え渡る推理...というもの
でもなく、かなりオーソドックスなスタイルで
事件を追っていき、手掛かりを集めて真相に
辿り着くのが、何故か新鮮で、さほど無理や
強引さを感じずに読めます。悪く言えば、
少し地味w。

シリーズものとしては、主人公の「塔子」に
特に際立った能力があるでもなく、キャラクターも
突拍子もない変人でもなく、ごく普通の女性刑事と
しての成長期...のようなシリーズなのかもですね。
シリーズ作品として続けるなら...登場人物たちの
キャラをもう少し過剰にしても...いいのかも。

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by neon_books | 2013-01-31 18:22 | 国内作家あ~

舞城王太郎 / 短篇五芒星 (講談社/ハードカバー)

流石の舞城作品。全5編の短編全てが舞城氏
でしかあり得ない。印象的にはスピード感を
ダウンさせた代わりに、言葉の一つ一つが
胸に残る言葉で紡がれ、積もっていく雪のように
のしかかってくる重みを増した気がします。

流産という理不尽な現象に偏執的に取り憑かれた
27歳の男の話。
地味だった姉が突如として鮎(魚の鮎です)と
結婚した話。
四点怪談に端を発し、超絶的な推理を披露する
名探偵の話。
バーベルとして持ち上げられた過去によって
その人生が静かに狂う男の話。
悪の箱と闘う少女、見栄っ張りだけど意地っ張りな
少女との邂逅。そして善と悪の話。

どうやってこんなストーリーを構築し、
さらにあの文体なのに、読む側の人間に
苦痛を感じさせる事なく、書く事が出来るんでしょう。
現代の日本に生きる数少ない天才...ですよね?

大して意味はないのかもですが
劇団エンジェルバニーズが登場しますw。

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by neon_books | 2013-01-30 23:45 | 国内作家ま~

赤井三尋 / ジャズと落語とワン公と 天才!トドロキ教授の事件簿 (講談社/単行本)

自分の中では文句なく傑作だった「月と詐欺師」
の作者なので多少贔屓目になってますw。
3編の短編からなるミステリですが、舞台は
大正、そして主人公は早稲田大学の言語教授
という設定。趣味でやってるという探偵でも
その冴えを見せ、各所で名を轟かせるという
ちょっとしたホームズぶり。そのワトソン役
の助手、井上氏の回想録という形で綴られます。

その依頼人はアインシュタイン、幣原喜重郎、
そして柳家金語楼と実在した人物たちが登場し
バラエティに富んだ依頼内容。この辺りは
読んでいても食いつきはよいですよね。
更にはあの忠犬ハチ公まで登場w。
やり過ぎ感もありますが、いい役回りで
花を添えています。

確かに等々力教授のホームズっぷりは
凄いのですが、あまりに飄々としすぎで
ミステリ的には日常の謎の延長という感じで
醍醐味は少々物足りないですかね...。
シリーズものにするなら、もう少し
個性の強いキャラも必要...かな。
でも、サクっと楽しめて少し知識も
身に付く作品。

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by neon_books | 2013-01-29 22:56 | 国内作家あ~

木内一裕 / デッドボール (講談社/ハードカバー)

ひゃうぅっ!完全無欠の一気読みエンタメ小説!最高!
ゴチャゴチャとチマチマと斜に構えたレビューを
鼻で笑い飛ばすような堂々とした王道エンタメ。いいわー。
迷いもないし、なにせ速度が違いますよね。読者を
置いてけぼりにしない速度で、ウダウダと迂回もせず
ゴールに向かって真っ直ぐ進むストーリーの気持ち良さ。
そして登場人物のキャラ。今回はまさかの「BE-POP
HIGHSCHOOL」の封印を解いたかの如く、フリーの
ヤクザ「源田ツトム」とそのお気に入り「兼子信雄」
とおぼしき人物が登場。ニクいですねw。

主人公はその「ノボル」。振られた彼女に返す借金
16万5千円の返済の為に、関わっちゃいけないフリーランスの
ヤクザ「ゲンさん」からの悪魔の誘いに乗ってしまった事から
ジェットコースターのような展開が待っている。

誘拐、殺人、強盗...etc物騒な事件だが、ノボルの
その持ち前のネガティブハートかつ、性根の優しい
意地っ張りの性格と犯罪とのバランスが絶妙の描写。
消極的なノボルの侠気が...カッコいいんです。
ノボルの雇い人でもある頭の切れる犯罪者「佐藤(仮名)」も
サブキャラなのに抜群の存在感。いいコンビです。

いやー。ダメだ。面白くって全部書いてしまいそうw。
そろそろ映画公開の「藁の盾」も面白いですが今作も
映像化したら絶対受けます。間違いないス。
伊坂幸太郎の「陽気なギャング~」あたりのファンは
多分、ドストライク!(今作のタイトルはデッドボールですがw)

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by neon_books | 2013-01-29 02:23 | 国内作家か~

福田和代 / スクウェア Ⅱ (東京創元社/単行本)

前作からの続き。路地の行き止まりに
佇むバー「スクウェア」。そのマスターの
「リュウ」の正体の謎が序々に分かっていく今作。
その中で刑事という立場から、リュウとの
関係を思い悩む主人公の「三田」の葛藤が、
年下の無鉄砲だけど憎めない男に、実は
すっかり魅了されている...なんだか微笑ましく
イジらしいw。

リュウ達の薬物に対して関わりが次第に
明らかになっていくにつれ、立場と方法は
違えど、目指す方向は刑事である三田と
なんら変わらないところが、客とマスター
がカウンターという隔て同様に微妙な距離に
あるようで、馴れ合わないけど、互いを認める
男臭さがいい。

バーが舞台の作品といえば東直己作品を
思い出しますが、今作もゆっくりでいいので
さらなる続きを読みたいものです。
もちろん、チビチビと飲みながら。

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by neon_books | 2013-01-28 14:07 | 国内作家は~

七尾与史 / ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件 (幻冬舎/単行本)

あ。うぅぅん...。みたいなビミョーな印象。
以前に読んだでデビュー2作と比べると
余計な茶々も少なくてすっきり読み易いし
キャラクターもまぁ、分かり易いのですが
いかんせん、ミステリとして読んでしまうと
かなり消化不良感が。

タイトル通りに、バタフライエフェクトのような
連鎖放火殺人が起こりその被害者は10人。
その真相に辿り着くんですが、犯人側が殺人の
ターゲットを探し出した事自体が不自然すぎる。
百歩譲ってキャラ小説だとしても、やはり
刑事が主人公とあれば、この点は痛いような...w。
女性主人公「黒井マヤ」の設定もドSという
キャッチだと少し噛み合ない気もするんですよね。

以外と多作な方のようなので、様子見つつ
他のシリーズにも挑戦しようと思います。

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by neon_books | 2013-01-27 19:18 | 国内作家な~

津原泰水 / 爛漫たる爛漫 クロニクル・アラウンド・ザ・クロック (新潮社/文庫)

一癖も二癖もあるイメージの津原さんですが
今作はかなりストレートな作品かつ、コンセプト。
ずばり...ロック。ただし、結構ディープなロックかつ
斜め具合はやはり津原作品っぽい...のかな。
かなり面白いです。コレ。

人気ロックバンドのフロントマンの死。
業界に蔓延る楽物(いつの時代っすかw)。
絶対音感を持つ投稿拒否少女。
が上手く絡んで、しっかりとミステリーとしても
成立させています。そのミステリ部分の
真相解明はガッツリと音楽が関わっていて
ページは薄いけど、見事なバランスですね。
ロック小説って難しいんですよね。実は
あまりにも振り幅が広くて。現代が舞台ですが
完全にイメージは70年初頭の手触り。

あとがきに書かれている事も非常に的を得ていて
ロックと録音技術の関係はおっしゃる通り。
ロックを精神論で誇張して語ることの間違いが
サラりと書かれてます。

惜しい点は読者ターゲットを若い人に設定した
ような装丁イラストとオビのコピー。
その方向は間違ってると思うよw。きっと。

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by neon_books | 2013-01-26 10:26 | 国内作家た~

法月綸太郎 / キングを探せ (講談社/ハードカバー)

とにかくもの凄く久しぶりの法月作品。多分
90年代に読んだっきりかも。「生首に~」も
未読だったし。そんな法月作品が、
「本格ミステリベスト10」の第一位とあっては
一気に興味がムクムクと。

流石の抜群の安定感と構成力で一気読み。
4人のターゲットをトランプになぞらえ、
匿名の一見接点の無い犯人達による
4重交換殺人を、例のベタ甘な法月親子が
追いつめる。
前半の犯人目線による倒叙スタイルから始まり、
探偵側のターン、更に犯人のターンとテンポもよく、
上手く散りばめられたミスリードにまんまと乗せられ
後半の真相解明パートでは思わず
「おおぅ。...でもなんかズルいw」という感じで
真相が明かされていきます。なんとなくですが
ちょっと急速な印象も受けますが...。

読み終えて見るとまんまと作者の思惑に
ハメられ、ミステリの楽しみは充分に
味わえるし、面白いのですが...個人的には
もう少し重厚感のある作品を期待しただけに
若干の肩透かし...も否めないのが本音w。

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by neon_books | 2013-01-25 17:49 | 国内作家な~

木内一裕 / 神様の贈り物 (講談社/ハードカバー) 

好きな作家さんのうちの一人、木内さんの
現時点での最新作。なんと小説家としての
デビュー作「藁の盾」が映画化されるようですね。
漫画家としても成功し、小説家に転向してからも
結果を出して...凄い方です。

今作は感情...「心」を持たない「チャンス」という
男が主人公。彼は幼い頃からクリューヴァー・ビューシー
症候群という障害を持ち、凄絶な過去を持つ。
そんな彼をプロの殺し屋として育てあげ、歪な形で
愛情を注いだ「ヨモギダ」という男の関係が
極端な形で書かれており、トンデモな設定ながら
妙に胸に残るのは...自分が好きな作家の作品という
贔屓目目線なのでしょうか?
ただし、圧倒的にボリューム不足w。これでは
軽く見られてしまいそうです。

「チャンス」が心を取り戻し、人間として
改めて生きようとする姿は前向きなのに、
その余りにも清算不可能な過去を考えると
残酷でもある。そんな男の不思議な物語。
シザーハンズとか、フランケンシュタインとか...
そんな事を思い出しました。

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by neon_books | 2013-01-24 18:10 | 国内作家か~

大崎梢 / プリティが多すぎる (文藝春秋/単行本

爽やかで真っ直ぐなお仕事小説。大崎さんの
得意(?)な出版業界もので期待は高かったのですが
当然のクオリティ...でしょうか。

本来、文芸編集者志望の主人公「新見」くんですが
最初の部署移動でまさかのティーンズ向けの
ファッション誌への移動。そこで見る全ての
ものが受け入れられずに、仕事に対しても
モチベーションは一気にゼロに。
そんな彼の成長記とも言えそうな作品ですね。

これって社会人なら類似したケースって多いと
思うんですよね。自分も似た様な事があった
ような気がするし。腐りながら仕事をすると
確かに負の悪循環で、何一ついい事はない。
これは多分、間違いない。
ただ、そこで「新見」くんのように周りの
人間達の真っ直ぐで、芯のある熱がある。
という事が重要ですよね。今作だと
カメラマンの「戸馬」さんのような。

それに対して、自分の価値感をゼロから構築
して取り組むのか、また、それでも
受け入れできないなら...。
その選択の苦悩が働くって事なんでしょうね。

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by neon_books | 2013-01-23 19:08 | 国内作家あ~

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