the books

平山夢明 / 暗くて静かでロックな娘 (集英社/ハードカバー)

10編の短編で構成された作品。「或るろくでなし~」は
全編に死がまつわる作品ですが今回はそういった見える
テーマや縛りはないまでも...やはり平山作品としか
言い様のない小説でした。
登場人物は全てろくでなしのクズで基本、無職w。
下品でゲスくて口汚くて、不適応者で...挙げたらキリの
ない底辺っぷり。

ドロドロのタールでイヤな臭いが鼻をつきながらも
ヤサグレるでも、怒るでもなく、なんだか静かに
物悲しい景色が確実に残る作品が今回は多いです。
だからと言って安易に人にはオススメできない
救いようのないバッドエンドだし、表現も放送禁止用語
バンバンです。
ただし、そういった表面上を持ちながら、この数ページで
一気に作品世界に全てを持っていかれるところに、
作家「平山夢明」を求める人が多いのかも。

表題作「暗くて静かでロックな娘」と
「反吐が出るよなお前だけれど」が秀逸。
この人にしか描けない男女間の感情の機微と
優しさに...不覚にもゾクリ...と来ます。

e0156857_23392354.jpg

[PR]



# by neon_books | 2013-06-09 23:39 | 国内作家は~

富樫倫太郎 / SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室 5 ボディーファーム (中央公論新社/文庫)

待望のシリーズ第5弾は稀代のシリアルキラー
「キラークィーン」こと近藤房子との3度の対決。
躊躇なく快楽の為だけに殺戮を繰り返すあの
オバちゃんが戻ってきちゃいました。しかも
気軽に警視庁広域捜査専任特別調査室の室長自宅に
予告電話をしたりして。ストーリー前半の房子の
狂人じみた行動と行動力は流石...とその後の
展開に胸躍りましたが...。ん?....

対決の家庭で鍵となるのが同室、副室長の
「麗子」なのですが房子に決定的なトラウマを
与えられたとは言えかなり半端な復帰具合を
再度、房子に付け入られるなど...完全な足手まとい。
更には室長の変人「山根」以外のSROメンバーも
ほぼ活躍することなく、今までのキャラ立ちや
エピソードは何だった!?ってくらいの薄い脇役w。
山根の立てた作戦もなんだか詰めも甘く、キレ者
っぷりもないし、あまりにも無防備。

途中いくつか曰くのありそうに登場した伏線も
割と投げっぱなしだし...んー。
なんだか...期待し過ぎだったかな?

一応の決着は着いたもののなんだか煮え切らない
形なのと、実は4度の対決に向けた伏線なんじゃ!?
というくらいモヤモヤです。まさかラストに
伏兵「尾形」のまさかの展開で終わるなんてw。

e0156857_9593063.jpg

[PR]



# by neon_books | 2013-06-07 09:59 | 国内作家た~

大倉崇裕 / オチケン探偵の事件簿 (PHP研究所/単行本)

書き下ろしだけに...何時新作が読めるのか分からなかった
オチケンシリーズの3作目。たった3人しかしない貧窮な
落語研究会の面々の元気な姿が読めて嬉しい。
今作は2編のお話ですがどちらも部長の「岸」さんの
演じる噺に真相のヒントを得て、新入部員で一番
まともな性格の「オチケン」がその謎を解き明かす
スタイルです。

奇人2人の先輩に巻き込まれ、引き摺られっぱなしで
日々、時間と金銭を搾取される「オチケン」の
体質は今作では更にパワーアップ。更には学生部の
部長「土屋」、新学長にまで何故か目をつけられる始末。
事件を呼び込むところも含め才能なんですかね。
白戸修くんと一度対面して欲しいものですw。

完全に落語研究会が大学内の探偵部と化して
事件を解決するこのスタイルは、それはそれで
面白いのですが、個人的には「岸」さん、
「中村」さん、そして「オチケン」くん達と
落語の密な人情噺も...期待します。
次作は....何年後かなw?

e0156857_2237585.jpg

[PR]



# by neon_books | 2013-06-05 22:36 | 国内作家あ~

浅倉秋成 / フラッガーの方程式 (講談社/講談社BOX)

デビュー2作目。前作の「ノワール・レヴナント」も
バリバリに才能を感じさせる作品ですが、こちらは
作風や文体もかなりくだけ、異なる手触りながら、
この方面でもビシビシと才能が伺えます。確実に
売れていく方...だと思われますね。

ごく平凡な高校生「東條涼一」が被験者となった
フラッガーシステムなる眉唾な装置。この装置は
主人公が、アニメ、コミック、ラノベ...の主人公的な
波乱とトピックとストーリーに満ちた、まさに物語の
「主人公」となる事が出来る...なるご都合主義に溢れた装置。
その装置によって翻弄される「東條」くんの密かな恋心と
ストーリーが「ご都合主義」に展開される...
というヘンテコな作品。

作品の中で所謂ライトノベル的展開をふんだんに
盛り込んでおきながら、ライトノベル以上の読み応えと
世界と、なによりも面白さが全編から滲み出る。そして
何より作者のアニメ、ライトノベルに対しての愛情も
伝わってくる、なんともいじらしく、可愛らしい作品。
ギャグセンスも上品かつ、ツボのおさえ方が絶妙で
押し付けがましくない笑いが好感。そのギャグパートで
展開されたフラグ(伏線)が後半の、シリアスなパートで
これでもか!と活きてくる、作者得意の伏線回収は
おみごとです!!

e0156857_019172.jpg

[PR]



# by neon_books | 2013-05-30 00:19 | 国内作家あ~

麻見和史 / 虚空の糸 警視庁捜査一課十一係 (講談社/ノベルス)

好調シリーズ第4作。小柄ながらも強い想いを持った
女性刑事「如月塔子」。派手さはないながらもその
上司でもありパートナーでもある「鷹野」との
コンビネーションも板に付き安定したシリーズとして
読める作品。

今作の事件の口火をきる殺人事件はマンモス団地で
発見された男の刺殺遺体。被害者自身がナイフに
ナイフを持たせ稚拙に自殺偽装された遺体だった。
いつもより派手さの内一見単純な殺人事件は
思わぬ方向へと発展。犯人自らの警察への脅迫に
よりその明らかになる真意。都民千三百万人を
1日1人づつ無差別に殺人をするという...予告。
その身代金は2億円。
絞り込みのないような事件は塔子の所属する
十一係と特殊班の合同捜査によって解決に
乗り込む。

なかなかに大きな展開に高揚感は自然と
高まりますが、捜査そのものは苦戦一方で
犯人側からの指示、そしてそこで犯した
小さなミスによってその全ての真相が
明かされる結末には...少しだけ肩透かし感が
否めない。面白いんですが...圧倒的なスーパー刑事が
登場しない今シリーズとしては仕方ない...かな?
広げようによってはもっと緊迫感とスケールの
大きい作品になったような気もするだけに...。
小振りの作品の印象になってしまうのが惜しい。

e0156857_4473046.jpg

[PR]



# by neon_books | 2013-04-29 04:47 | 国内作家あ~

private book review
by neon_books
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

最新のトラックバック

フォロー中のブログ

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧