the books

西村健 / 地の底のヤマ (講談社/ハードカバー)

863P...二段組。...長かった。九州大牟田の
三池炭坑を舞台にしたある警察官の半生と
その街そのものを描いた大作。
ここまでの自分の中の西村作品を大きく
覆す作品で読み応えは勿論、ズシリとした
楔をうつ作品。

昭和35年から40年の時間を順を追って
丁寧に、主人公「鉄男」の警察官としての人生、
そして人間としての葛藤、苦悩、闇、喜び全てを
内包した人生そのものを矛盾も含んだまま、
丁寧に描いています。さらには炭坑街としての
大牟田という街の背景にある過去から現在が
大きなウネリを持って、書かれているところが
今作の重みになっているのかもしれません。

「鉄男」の刑事として関わった事件、そして
その父にして街の伝説的な刑事の死の真相。
ミステリとしても読ませる、有無を言わさぬ
力強さに溢れてます。登場人物も膨大な数ですが
ほとんど混乱せずに読ませる、配置と力量が光ります。
特に、「オッチャン」と「ヒカッしゃん」なる脇役は
西村氏ならではのキャラクターで涙を誘う。

ただ、主人公「鉄男」という人間の持つ弱さや矛盾。
逆に強さや正義感。その両方があまりに混沌と人間臭く
小説の主人公としては感情移入しくい面もあるかもです。
が....自分は充分にこの作品世界に浸りました。

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# by neon_books | 2013-04-16 00:13 | 国内作家な~

白石かおる / 誰もが僕に「探偵」をやらせたがる (角川書店/単行本)

前作が09年。流石に前作の内容はほとんど覚えていないので
今作中でその際の心境などを綴られても...正直、微妙。
これは他の読者の多くも思った事みたいですw。
巻き込まれ系の脱力風キャラの会社員「白石かおる」が
本人の意思とは関係なく事件を解決、真相を解く
探偵役として描かれる短編集。

この語り口や描写や人物同士の会話...基本的に
トーンは低く、シニカル(って言うんですか?)で
個人的には...合わないタイプ。鼻に付く...って
いうんでしょうか?鼻に付く割に頭に入ってこなくって
結構読むのに苦労しました。こういうトーンが
小洒落ててカッコいいならば...自分は無理っすw。合わない。
自分が上司だったら絶対に対応に困るタイプですね、
この主人公w。

4編の短編で構成された今作。主人公の注意深い
洞察力、注意力、想像力そして思考により
真相を見抜くミステリ的な面白さは、何となくですが
西澤保彦、石持浅海...作品のファンにはハマる...
かもですね。

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# by neon_books | 2013-04-15 15:44 | 国内作家さ~

アダム・ファウアー / 心理学的にありえない 下 (文藝春秋/ハードカバー)

と言う事で下巻。上巻でのややスローな展開が
嘘のように...この下巻では一気に加速したストーリーが
展開され、少しだけ「え!?ちょ、ちょっと!」感がw。

組織に利用された2人の子供と2人の大人の能力者
による凄絶な脱出劇で幕を閉じる第2部。時系列的に
これ以降の4人が上巻の冒頭で書かれており、序盤の
謎のアイテムだった「ネックレス」の真相が明かされ、
更にこの4人の邂逅が意味する事の大きな意味が
書かれています。
その後ジェットコースター展開の第3部に突入すると
一気に爆発したスピードでアクションパートが展開。

謎の教団「グノーシス」の指導者「ヴァレンティヌス」の
目論み。そしてその正体に立ち向かう4人。
それぞれの能力同士が対立、反発、受け入れ、増幅しながらの
バトルとそれをサポートする普通の天才「スティーヴィー」
があまりにカッコいい。ホームレスだったのにw。
教団が起そうとした大掛かりなテロ、そして強烈な
存在感を放つ「ヴァレンティヌス」の正体など...は
後半の展開が早過ぎた事と、主要人物がかなり呆気なく
舞台から姿を消してしまった事で、印象としては大味な
大作映画を観たような印象になってしまいました...が
結構集中して読んでた自分がいました。面白かったス。

登場人物も違うし、ストーリーも異なるのに「数学的〜」
と比べてしまって、残念な印象が残ってしまうのは...
やはりこの邦題の所為なのでは?

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# by neon_books | 2013-04-14 15:41 | 海外作家

アダム・ファウアー / 心理学的にありえない 上 (文藝春秋/ハードカバー)

「数学的に~」を読んだのがどの位前だったか...覚えては
いないですが当時の自分にしては珍しく翻訳作品を
面白く読んだ記憶が残っています。その作者の2作目の
今作...流石にこの邦題はw。

所謂「共感覚」を持った能力者とその能力を利用しようと
する側のサスペンスストーリー...ですかね。割とスローな
ペースで展開される上巻では2人の子供「イライジャ」と
「ウィンター」の幼少期を描きつつ、彼等を組織に導く事に
なる「ラズロ」と「ダリアン」とのストーリー。
さらに強力な能力を持つ少女「ジル」をも巻き込み、
ニコラ・テスラが残したと言われる彼のノートまでも
登場し、組織の目論み、策略を秘めつつ膨らんでいきます。

前作では作者の専門でもある統計学と
アクションとサスペンスが上手く融合した傑作でしたが、
善くも悪くも今回はハリウッド映画やアメコミを
思わせるような大袈裟な展開なんですね。
下巻では出揃った(?)カードが
スピーディーに展開される事を...期待。

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# by neon_books | 2013-04-13 21:51 | 海外作家

黒田研二 / キュート&ニート (文藝春秋/単行本)

タイトル通りの5歳の女の子と引き蘢りの30歳目前のコンビ
を描いたユーモアミステリ。ミステリ的な要素は
かなり薄めで、どちらかというと主人公ニートの
「鋭一」の遅れてきた成長期のような作品。
しかし、クロケンさん...ダメな男を書かせたら
相変わらずに上手いですw。

姉の一人娘の「リサ」の世話をすべく単身、巣を
離れ、5歳児の幼稚園児との共同生活をする事に
なったニートの「鋭一」。何をやってもまともに
出来ずに、更に動くと不運がついて回るような
ダメっぷりを、幼稚園児にフォローされるという
逆転した奇妙な暮らし。そんな中、園児達の起す
日常の謎を「鋭一」が抱え込み、それを「リサ」が
解決する...というスタイル。

そんなユーモラスな展開も後半にはシリアスだけど
人が人を思いやる...という当たり前で大切な事。
そして家族が家族を思いやる姿が、独特な形で
描かれるハートウォームな作品へと姿を変えます。
上手いですね。

気が早いですが文庫化のタイミングで
火が付きそうなタイプの作品。その後に
その時に人気の子役(芦田某みたいな)主演で
ドラマ化されそうな気配もしますw。

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# by neon_books | 2013-04-12 08:26 | 国内作家か~

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