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三浦しをん / 神去なあなあ夜話 (徳間書店/ハードカバー)

まさかの続編...というか夜話だけにスピンオフ的な
要素の強いファンタジーかつ、ラブコメw。なんか
作者の絶好調っぷりが伺え、そういう時期に書かれた
真っ直ぐでストレートな気持ち良さが伝わってきます。

前作で林業に従事することになった主人公の「勇気」が
それ以降に神去村での出来事、そして自分自身の恋の
事を綴った日記風に書かれた今作は、やはりユルくも、
優しく、穏やかな空気が始終漂い、読む側の気持ちを
自然に和ませます。
勇気以外の登場人物もしをんさん得意のキャラ造型によって
活き活きと、かつ人間臭く描かれていて、まだまだ
今作シリーズを期待してしまいます。ある意味では
高田郁の「みをつくし料理帖」と肩を並べるシリーズに
なって欲しいものです。

楽しいだけではなく、「なあなあ」な村にだって
色んな事がある。色んな過去もある。
でも、神去村での出来事や、村で暮らす人達は、
100年先を見据えて暮らす。100年先にそこで暮らす
人達の事を想って出来る事をする。
サラりと書かれてますがこれって...今、この国が
抱えている状況や問題を一言で現している気がします。

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# by neon_books | 2013-04-11 00:19 | 国内作家ま~

西尾維新 / 恋物語 (講談社/講談社BOX)

セカンドシリーズの完結作。最初の
1ページ目からすでに騙されましたが
タイトルには偽りのない、まさかの
オッサン萌えな切ない物語。
時系列としては「囮~」の続編で
撫子が壊れてしまい、阿良々木くんと
ひたぎを卒業式に殺す...と嬉々として
予告した後のストーリー。

ちょいちょい登場していた詐欺師「貝木」
に恋人である阿良々木を救って欲しいと依頼をする
戦場ケ原。その依頼を結果...理屈をこねくり回して
受けてしまう貝木の余りにも切なく、真面目過ぎる
悲哀っぷりが...もぅ、読んでられない。冷静で
冷徹キャラが完全崩壊し、終始ポカをしでかすなんざ
貝木の心情を思うと切な過ぎです。ラストに少しだけ
登場する阿良々木くんと比べると今回の男っぷりは、完全に
貝木に軍配ですね。

ラスボスだと思っていた撫子の件がまさかの
こんな形で集束するなんて...少しだけがっかり。
もっと凄絶で壊れたバッドエンドを期待していたんですがw。
と、なると...ラスボスの正体は...あの人ですかねー?

残り3作のラストシリーズに期待大です。

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# by neon_books | 2013-04-10 07:18 | 国内作家な~

浦賀和宏 / 眠りの牢獄 (講談社/文庫)

以前に読んだ作品がイマイチ自分には
合わなかったので以降...スルーして来たのですが、
何故か気になって手にした今作...。
うーむ..面白いです。

主人公は講談社ノベルスを主舞台に執筆する
ミステリ作家「浦賀」。なんだか私小説を
思わす設定ですがその更に上を行く奇妙なストーリー。
かつての恋人「亜矢子」とともに階段から落下した
浦賀と亜矢子だが、亜矢子だけが昏睡状態に陥り
数年経ても意識は戻らず。その亜矢子の兄に
呼び出された、当時、同じ夜を過ごした友人3人と
ともに地下シェルターに監禁される。
さらに同時進行で恋人に振られた女性による
交換殺人が進行。この2つの接点。そして
監禁された浦賀たちの行方...。

交互に2つのストーリーが進行し、後半に
突如として2つが交わるのですが、そこから先に
更に異様な展開が待ち受け、こちらを困惑させます。
骨格もシンプル、登場人物も極端に少ない中、
クロースアップマジックのような手際で見事に
騙されてしまいました。鮮やか。

ひとまず、ノンシリーズものから追っかけて
読みたくなってしまいました。

ただ、以前に読んだ作品「記号を喰う魔女」で
苦手意識を持ったあるシーン...は今作でも出てきましたw。

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# by neon_books | 2013-04-09 01:03 | 国内作家あ~

葉真中顕 / ロスト・ケア (光文社/ハードカバー)

第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
デビュー作とは思えないほど堂々と、作品の
骨子が太くそしてグサリと突き刺さってきます。
ミステリの装丁を身に纏う事で自分のような
人間にも、見事にその重さと避けては絶対に
通れないこの先...を見事に提示してくれ、
自分自身が向かって考えないといけない...という
当たり前の事実を認識させて貰えます。
社会派ミステリーなんて枠を越えてでも
多くの人が手にして欲しい...と思える作品。

所謂コムスンの事件をベースに現代の
介護が抱える(というか単に先伸ばしに
している)問題、家族、高齢化...さらに
性善説、そして正義対正義と話は絵空事ではなく
確実に将来に待ち構えている事...について
淡々と抉るように展開されていく事に、
誰もが他人事...ではない現実と比べながら
身を削がれるような想いになってしまいます。

作中で犯人とされた「彼」がしてきた事の罪を
裁く現代社会と現代の法。「彼」の行ってきた
正義は一矢報いる事が出きるのか...。テーマが
重い...だけで済ませてしまうことが出来ない
痛烈な作品。

ちなみにミステリとしても犯人である「彼」
を追いつめる手法も見事でかなり面白い。
自分の今年のベスト3確実...っぽいです。

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# by neon_books | 2013-04-08 00:18 | 国内作家は~

北山猛邦 / 猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条 (講談社/ノベルス)

探偵助手を育成すべく日本に唯一ある大学の専門学部。
その生徒である「クンクン」と教官であり探偵の「猫柳」。
今回は山に閉ざされた山村に舞い込んだ殺人予告の
脅迫状を阻止すべくクリスマス前に赴く。

この探偵「猫柳」は知名度、実績とも低い。その訳は
事件が発生する前に未然に防ぐ故、そもそも事件も
発生しなければ犯人逮捕にも至らない...という特殊な探偵。
今作もそれに乗っ取って、村に残る伝説に準えた連続殺人を
次々に未然に防ぐ...という展開。
これは、こうしてストーリーで読んでいくと予想以上に
地味な展開w。ミステリとしてはやはり高いハードルですね。
そこを回避する為に今作では北山氏独特の物理トリックを
登場させ、上手くバランスを取っていますね。

終盤の犯人との疑似対峙シーンは...ジョーカー的な
存在の登場によって「探偵」そのものは今回の事件には
関与しなかったという猫柳スタイルを貫徹。
やはり侮れないし、面白い。

さらにはクンクンと猫柳のラブコメ度もアップし、
キャラものとしても秀逸な作品にして、最終的には
地味さ回避に成功している結構...いい作品。
そしてオビのキャプコメントが秀逸。
「 頼りなげで危なっかしい 女性名探偵が謎を解く!
因習にとらわれた村で猫まっしぐら!」

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# by neon_books | 2013-04-07 01:40 | 国内作家か~

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