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前川裕 / アトロシティー (光文社/ハードカバー)

前作と少しばかり被る印象もありましたが
ミステリとしては今作の方が密度は濃いかも
しれません。

生活保護も受けずに餓死した若い母子。殆ど
違法な訪問販売により恐喝。数年前に起った
未成年により男女監禁暴行殺人。これらの事件が
点を繋ぐようにジャーナリストである主人公「田島」
を巻き込んでいく。更にには田島の講義を偽名で
受講する謎の女子学生など更に迷走する事件。

違法な訪問販売、そして過去の監禁殺人をメインに
展開しつつ、今作の本質はそこではなく、この
事件に「田島」が関わった事で、別の事件の真相が
浮き彫りになってくる構造です。
所謂真犯人... 探しという意味では割と想像し易い
設定で、その動機も若干の安易さがあった気がしますが、
登場人物の描写や今作では「緑川」なる刑事の登場により
充分にフォローしきれる内容ですね。

ただ...やはり前作と少しカブるイメージが残ってしまうのが
少しだけ残念。大学教授がカッコよく描かれすぎで
鼻につくとことかw。

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# by neon_books | 2013-04-02 02:51 | 国内作家ま~

平山夢明 / 或るろくでなしの死 (角川書店/ハードカバー)

あぁぁ...やはり平山さんの小説だなぁと痛感。
7編の短編で構成された「死」を死として
のみでなく尊厳の破壊、存在の消失...様々な
「死」をあくまでも平山氏独特の温度感で
容赦なく書かれています。字面上ではかなり
エグさとグロさのある表現ですが、個人的には
この温度感が独特故、嫌悪感をさほど抱かないという
希有な作家さんのような気がします。

タイトル作で書き下ろしの「~ろくでなしの死」は
ド名作DINERに似た空気感漂う傑作で、この核で
一作の長編にもなりそうな濃密な面白さ。
こういった殺し屋書かせたらピカイチですね。
心折れんばかりになった「~ごくつぶしの死」の
心地悪さと恐怖。
「~愛情の死」で描かれる常軌を逸したラストシーン。
そして、今作を締める「~からっぽの死」における
何故か切なく、苦しくなるラブストーリー。

こういった短編では一人勝ち、独壇場ですね。
色んなバランス感覚が絶妙過ぎます。
言葉にして言い難いですが...いい作品です。

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# by neon_books | 2013-04-01 00:56 | 国内作家は~

似鳥鶏 / 戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 (河出書房新社/単行本)

ここまでの似鳥さんの作品とは少し作風が
異なっており、作者風の警察小説...といった
趣きです。ただし、キャラ要素が強いので
警察小説ファンは見向きもしない...でしょうけど。

7年前に起った幼女殺人事件と現在起っている
連続放火事件が少しづつ接点を持つように書かれつつ
その真相に一見女子高生にしか見えないキャリア警部
「海月」と「設楽」のコンビ「戦力外」チームが
独自の捜査で迫っていく...。

装丁からは予想しなかった、作中には意外と重い
冤罪や誤認逮捕、警察機構の弊害...etcが作者独特の
タッチで書かれていて、事件の真相とともに
「戦力外」チームそのものの意図も明らかになり
ドジっ娘キャラの「海月」の警察キャリアとしての
立ち位置が明かされ、今度もシリーズ化の予感です。
だとすれば今作は各人物達のキャラ付けと紹介的な
意味合いが強かった...かなと。

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# by neon_books | 2013-03-31 00:12 | 国内作家な~

田南透 / 翼をください (東京創元社/単行本)

ミステリフロンティアシリーズ。
これは...本気の作品なのかパロディ...というか
コメディなのか本当に迷ってしまうくらいに
色んな事を盛り込み過ぎてしまって...残念ながら
破綻してしまった感が強く残ってしまいます。

孤島...に近い環境下で起る殺人事件、女子大生に
付きまとうストーカー、男女間の感情の縺れ、
トランスジェンダー、血の繋がらない兄弟...連続殺人...。
かなりの要素が盛り込まれているんですが、その
一つ一つが薄いうえにある程度のミステリ作品を
読んできた読書には流石に、ご都合主義、偶然主義、
必然な動機、被害者の取っていた行動....様々な方面に
於いての説得力に欠けてしまっていて、結果作品全体の
印象が散らかってしまった...のではないでしょうか?

とは言え341Pを読むにあたって苦痛や投げ出したくなる
事はなかったのできっと読ませる何かを持っているんだと思います。
多分、次作も手に取る...ハズ。

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# by neon_books | 2013-03-30 00:01 | 国内作家た~

至道流星 / 大日本サムライガール 2 (星海社/単行本)

前作からの続き...右翼として政治結社の総統をつとめ
国家改革を目録女子高生のお話。彼女が単身で乗り込んだ
ライバル事務所でおこなった器物破損、暴行未遂などの
罪で逮捕...から...の続き。
更には芸能事務所拡大に向け、2人目のアイドルの
オーディションを行い、合格したのは...「守銭奴」w。

という今作ですが、その守銭奴のキャラが実は単なる
普通に性根の優しい女の子...という少々残念な設定。
主人公の「日鞠」が振り切れたキャラなので、食い合いを
避けたのか...分かりませんが、今作をメインにするには
ちょっと物足りない気も...します。
所属事務所が意外な方向で企業拡大をする
ステップの為に必要だったエピソード...なのかもですね。

恐らく企業経済、マスコミ、メディア、広告プロモーション、
芸能、タレント、アイドル産業を政治に絡めた作品...という
全体図が少しづつ見え始めてきました。次作も読みますw。

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# by neon_books | 2013-03-29 00:35 | 国内作家さ~

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