the books

花村萬月 / 希望 (仮) (角川書店/ハードカバー)

成績優秀な高校3年生「幸司」は東大受験当日に
まさかのあり得ない失態を犯し...高い自意識が故
実家にも帰れずにそのまま成り行きで三谷暮らしを
始める。その失態のきっかけとなった手配師から
新たな仕事を得る事になったのだが、その仕事先は
福井県にある原子力発電所。原発の点検作業員という
仕事だった...。

今作の初出が2010年なので東日本大震災以前からの
連載作品でありながら、以前から作者のウチにあった
原子力発電、この国の電力利権、エネルギー利権などと
震災が起した事が重なった事で、今作が読者に与える
印象は善くも悪くも「原発」寄りになってしまうところを
あくまでも主人公「幸司」の飄々と淡々とした、羨ましくも
ある転落した青春を綴る事で、あくまでも小説として
最後まで読ませる力量が素晴らしい。

その後「幸司」は原発作業員の任期を終え、沖縄での
ダム工事作業員として飯場に入る。そこで様々な
人間と出会い成長していく様になんだか...異常に
感情移入させられてしまいます。小説の時代設定も
絶妙ですね。このクニがまだギリギリで持っていた
おおらかさが救いになっています。ここ数年の中で
「西方之魂 ウエスト サイド ソウル」と並ぶ名作。
だから、萬月作品を追う事をやめられないッス。

必要以上に悲観もしないし、楽観もしていない。
現在のこのクニ、そして未来に希望はあるのか。
(仮)が取れるかどうかは今を生きて、暮らす
自分が瞬時に考えた行動を起こす事なのかも...ですね。

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by neon_books | 2013-04-26 16:49 | 国内作家は~

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