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綾辻行人 / 迷路館の殺人 (講談社/文庫)

再読。
館シリーズ3作目。前回の王道ゴシック路線からは
また異なる作中作などによるトリッキーで
「騙し」に拘ったような異色作。

今更粗筋や概要は...アレなのですが、作者自身が
割とハイな状態(開き直ったとの思える)
で書かれたようなテンションの高さと稚気と、
挑戦具合が伺えます。
館シリーズの前提として、ミステリにおける
ある意味のタブーを最初から度外視した仕掛けに
ついては、予備知識なしでは、脱力ギャグに
なってしまう恐れがありますね。

更にはアンフェア(?)スレスレの叙述トリックによる
「真」犯人の告発も今作の賛否両論が分かれるところ
なのかも...。そういう意味でも「騙し」に
拘った当時の綾辻氏の苦悩の向こう側を何となく
思ったりしましたw。でも、個人的に最後まで
一気に読ませる作品で充分に面白いと思ってます。

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by neon_books | 2013-03-11 19:52 | 国内作家あ~

至道流星 / 大日本サムライガール 1 (星海社/単行本)

会社経営、投資家の側面も持ちつつ、政治、経済、
芸能界にも一言ある作者が、どうやら本気で
取り組んだ(と思われる)このシリーズ。
類い稀な美しいルックスを持ちながら、自らを
真正なる右翼は、日本にただ一人、自分のみ。と
叫ぶ政治結社の総統「神楽日毬」。
そんな彼女と縁を持ち2人で芸能界に殴り込みを
かける「織葉颯斗」との...キャラ小説...でいいんだよね。

彼女は日本における独裁者になるべく、真の
政治家を目指すその過程としてアイドルになり
自分の主張、思想を巻き散らかしていくw。
この辺は痛快だったりします。そこで語られる
彼女のこの国の在るべき姿が、正しいかどうかは
別ですし、そもそも今作に本気で政治的な突っ込みとか、
右や左の思想や、歴史的史実に基づいての反証や反論は
しない方がいいし、そもそもアイコンとして
面白いから...という感覚の延長上で本気の作品
だと勝手に思ってます。

そういうキャラの美少女がどのように作中で
楽しませてくれるか...のみを楽しむべき?

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by neon_books | 2013-03-10 06:32 | 国内作家さ~

誉田哲也 / ドルチェ (新潮社/ハードカバー)

42歳の女性刑事が主人公の刑事もの。
スキルも能力もあって捜査一課から現在は
犯罪対策課に勤務。その理由は人が殺されて
始まる捜査より、誰かが死ぬ前の事件に関わりたい...と。

6話の短編からなる今作中に起る事件は殺人未遂や
傷害など。誉田作品にしては珍しく(?)人も死なないし
派手さは少なめです。そういった意図で書かれた
少し変わった刑事小説。一見地味な事件ではありますが
その裏側に潜む真実を嗅ぎ、明白に晒す主人公「久江」の
能力は、手法は違えど、姫川に引けを取らないですw。

既に出ている第2弾は長編との事なので今作での
基本ベースがどう展開されるのか、少し楽しみです。
出来れば大きく路線変更でなく、今作の持つ
個人の持つ問題や苦しみ、救いがベースになる
ペーソスのある作品だと...嬉しい。

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by neon_books | 2013-03-09 11:53 | 国内作家は~

竜騎士07 / ひぐらしのなく頃に 第4話 暇潰し編 (講談社/講談社BOX)

問題、出題編としてはラスト。今回は一連の
事件の5年前に遡っての出来事で雛見沢ダム建設闘争の
最中のエピソード。当然ここまでの主人公だった「圭一」は
まだこちらには越していないため、今作は、事件全体を
客観的な目線を持つ事が出来る、「外」の人間の目線で
語られる。東京からきた公安刑事の「赤坂」が登場。
そしてそれに対応するのはボクっ娘「古手梨花」。

基本的には「祟殺し編」に対応するのが今作で
「祟殺し編」で展開された一連の事件と、余りに
悲劇的な最終カタストロフに至る謎を、「大石」
という刑事と力を合わせ、解明する...という
解決編に繋がる序章的な役割...のような作品。

さぁ...いよいよ全9巻に渡る解決編へ。

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by neon_books | 2013-03-08 11:47 | 国内作家ら~

河合莞爾 / デッドマン (角川書店/ハードカバー)

横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作。デビュー作にして
大胆にも島田荘司の「占星術殺人事件」を下地に
したような6つのバラバラ殺人を題材に、全く
別の絵を描くように、面白い作品を輩出した、
受賞も納得の快作。

頭部、胴体、両腕、両足のない6つの死体が
発見される猟奇殺人事件。持ち去られたそれぞれの
パーツはまさにアゾートを思わせる。その事件を
追う警察官の視点と、そのパーツを結合して蘇った
「死体」であるデッドマンとの視点でストーリーは
展開され、それぞれの推理によって真相が明らかに
なっていく。

真相に辿り着く経緯となったデッドマンからのメールなど
やや強引でご都合主義な部分もあるのですが、それ以上に
今作そのものの発想と、ストーリーが持つスピード感、
そして警察官達のキャラクタが優れている為、少しの
マイナスを充分カバーして余る面白さです。ラストは
もう少し余韻を残した展開が欲しかったですが...この
主人公「鏑木」を始めとした面々の再登場を望みます。

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by neon_books | 2013-03-07 17:19 | 国内作家か~

伊坂幸太郎 / ガソリン生活 (朝日新聞出版/ハードカバー)

朝日新聞夕刊にて連載されていた作品。今作は
車が主人公...というか物語の語り部という一風
変わったスタイル。緑色のデミオという車種で
通称「緑デミ」。彼は望月家のファミリーカーとして
ごく一般的な愛車として暮らしている。
その緑デミにある日突然、有名な元女優が乗り込んできて
その日の夜に、その女優は不倫相手とトンネルで
事故死を遂げる...。

今作はかなり盛りだくさんな内容で更には望月家
長女とその彼氏が、人格破綻者「トガリ」が起した
事件に巻き込まれたり、子供の皮を被った大人より
大人びた小学生の次男の苛め問題、そして何よりも
語り部が車ゆえのもどかしさとそれ以上の面白さ。
ファンタジー面の伊坂氏と、ポップでキャッチーな
伊坂面が、こんな形で完璧に融合するなんて!!!

登場人物も安心の伊坂作品で望月家の個性ある
家族以外にも芸能記者の「玉田」、カラスと闘う
近所のオバさん「安田さん」、そして小学校校長
でありながら事あるごとに生徒に「フランク・ザッパ」を
聴くようにと奨める「細見氏」。

こういった愛すべき人物たちと、様々な事件が
張り巡らされた伏線で少しづつ繋がってきて、
盛り込み過ぎ?なくらいにサービスに溢れた作品。
出来るだけ...子供に多く読んで欲しいなーと
思ったりします。

今作で泣かされる事はないと思いながら読んでいて
油断した所為なのでしょうか...エピローグのラスト2Pに
急に涙腺が決壊してしまいました。あぁ...ステキな作品です。

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by neon_books | 2013-03-06 08:02 | 国内作家あ~

三浦しをん / 舟を編む (光文社/単行本)

2012年本屋大賞。まさに相応しいと思います。
心ある書店員さんたちが本当に読んで欲しい、
そしてオススメするに値する作品です。
もう最初の1ページ目から面白いし、涙を
堪え過ぎて...眼球がヒリヒリ痛い。

一つの辞書を作るにあたって3人の視点から
十数年に渡る時間を260Pでまとめた手腕と
本当に誰が読んでも楽しめる文章、構成力、
そしてしをんさんならではの登場人物の
キャラクター。こういう作品が売れるのは
正しい事だと思います。やはり書店さんって
頑張ってるなーと羨ましく思います。

よく図書館で1年待ちとか1000人以上待ちとか
みかけますが、売れた作品だけあって中古市場も
意外に潤沢に在庫ありますよw?

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by neon_books | 2013-03-05 23:29 | 国内作家ま~

青柳碧人 / ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会 (早川書房/文庫)

講談社Birth出身の中でたった一人といってもいいくらいに
その後もコンスタントに作品を書かれる若手の作家さん、
今度はなんと早川書房から一風変わったミステリを発表。

舞台は大学のサークル、ヘンな建物研究会。通称「ヘンたて」に
入会した女子大生「亜可美」。そのサークル仲間達と巡るヘンな建物が
ある意味主役な建造物ミステリ。そのヘンな建物にまつわる
謎をほのぼのと、ゆるゆると解き明かしていく。
このヘンな建物や路上の風景は超芸術トマソンと呼ばれるそうです。
自分世代では「VOW!」もっと若い世代は「ナニコレ珍百景」に
あたるアレです。

サークルメンバーは一風変わったヘンな人達...的に書かれていますが
どうしてもラノベや他の作家さんの作品と比べると
キャラクター的には薄味かも。もう少しアクの強さと変人っぷりが
合った方がコメディ青春小説としても人気出るかもですね。

とは言え、基本的には変わった建物達をメインとした
ミステリとしては方向性は合ってるし、続編も楽しみ。
今作で知った「ヘンたて」、すなわち、超芸術トマソン。
個人的にはかなりツボで俄然興味持ってしまいました。

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by neon_books | 2013-03-04 23:14 | 国内作家あ~

柳広司 / パラダイス・ロスト (角川書店/ハードカバー)

いやぁ...相変わらずカッコいいし、面白いですなぁ。
ある意味安心かつ安定のクオリティ。
ですが、今作はD機関、そしてスパイ本来の諜報活動と
いうよりは、D機関のスパイ達による探偵活動的な
ミステリ寄りな内容...かもしれません。それでも
充分に面白いんですけどね。

4話のストーリーからなる今作ですが個人的には
「失楽園」に登場する名もなきスパイの探偵的な
誘導推理と「追跡」における結城中佐の過去を
扱った2作が突出。正体も影も見せずに、ターゲットを
追い込むという力技なのに、あくまでもクールな
スタイルはこのシリーズならではですね。
カッコいい。しかし...D機関...凄いなw。
どんどん凄みが増してくる。

どこまで続くのか分かりませんが...そろそろ
結城中佐をメインとしつつ、ライバルの登場や
戦争の終焉によってこのD機関がどうなっていくのか...。
最後まで描ききって欲しいですね。しかも長編で。

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by neon_books | 2013-03-03 20:53 | 国内作家や~

島田荘司 / 奇想、天を動かす (光文社/文庫)

89年の作品。十数年振りに再読。面白かった。
元々島田作品は御手洗シリーズよりもこの
吉敷シリーズの方が好きだったし、今作は
色んな意味でやはり傑作。そもそもタイトルから
素晴らしい。

ホームレス老人が導入されたばかりの消費税の12円
(当時は3%)を請求された事で、乾物屋の女性主人を
刺殺...という事件から端を発し、吉敷が探し当てた
事件の背後に潜んでいた大きさと真相の仰天さは
ピカ一の...まさに奇想で奇作。

走行中の列車で起きた、謎のピエロ男の自殺、
そしてその遺体消失、列車飛び込み自殺、そして
その遺体が動き出す。さらに、「白い巨人」による
列車転覆事故...ミステリ的には充分なネタと
意図してゴリゴリの社会派としての問題を
融合させていながら、危ういバランスで
両者を成立させた力技に拍手。
賛否両論あったようですが、自分は支持派です。
人がある想いを胸に秘め、自分自身がその
想いに誠実だった結果がここにある。
だからこそ今作が完成したのですよ?きっと。

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by neon_books | 2013-03-02 18:27 | 国内作家さ~

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